鐘と開襟シャツ

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鐘は、ベルのことですよね。ファッションとも少し関係があります。「ベル・ボトムス」とか。裾拡がりのシルエット。あの形が鐘に似ているというわけですね。
鐘は、フランス語だと「クローシュ」。吊鐘型の帽子を、「クローシュ」というのは、ご存じの通り。ポオの詩に、『鐘のうた』があります。

聞きたまえ 甘やかな結婚の鐘 ー

そんなふうにはじまる詩です。『鐘のうた』は、1849年『合同雑誌』11月号に発表された詩だとされています。それよりも八年ほど前に書かれたのが、『モルグ街の殺人』。これは、1841年『グレアムズ・マガジン』4月号に掲載されたもの。もちろん、エドガー・アラン・ポオの作。
巴里のモルグ街で、事件が起きる。それを解くのがフランス人の、デュパンという設定なのです。この『モルグ街の殺人』こそ世界ではじめての探偵小説だと考えられています。余談ですが。モオリス・ルブランの「ルパン」は、デュパンから創造されたものです。
ポオは、『モルグ街の殺人』の他に、『盗まれた手紙』や、『黄金虫』など、いくつかの探偵小説を書いたいます。というよりも、後の時代のミステリ作家に、少なからぬ影響を与えてもいます。いや、ポオの影響を受けていないミステリ作家は存在しないに違いありません。
ところで、『鐘』という小説があります。マードックが、1958年に発表した長篇。この中に。

「濃い灰いろのフラノのズボンをはき、白い開襟シャツを着ている。」

これは物語の主人公が、列車の中で会った少年の着こなし。
オープン・カラーのシャツ。いいものですよね。なにか開襟シャツを着て、ポオの詩を探しに行きましょうか。

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