ジェロームとシルク・シャツ

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ジェロームは、わりあいと多い名前ですよね。たとえば、ジェローム・カーンだとか。
ジェローム・カーンは、アメリカの作曲家。私の大好きな『煙が目にしみる』を作曲したのも、ジェローム・カーン。1933年のことです。『煙が目にしみる』は、今なおスタンダード・ナンバーになっています。
イギリスにもジェロームの名前はあって。ひとつの例を挙げるなら、ジェローム・K・ジェローム。なんとジェロームがふたつも入っているんですね。「K」は、クラプカの頭文字なんだとか。
ジェローム・K・ジェロームの代表作は、『ボートの三人男』。1889年9月の刊行。今なお、売れている本です。徹底したユウモア小説。なにか哀しいことがあったとしても、『ボートの三人男』を読むと、たちまち笑顔になってしまいます。
でも、最初、ジェローム・K・ジェロームは、まじめなテムズ川の物語を書こうとしたんだとか。では、どうしてジェロームは、テムズ川の案内書を書こうとしたのか。
結婚したから。ジェロームは、1888年にジョージーナと結婚。その新婚旅行に、テムズ川へ。それで、新婚旅行の帰り道、『ボートの三人男』を書きはじめた。
ジェロームは結婚したばかりで、心ウキウキ。で、案内書がユウモア小説になってしまったんだとか。余談ですが。『ボートの三人男』には、ブレイザー の話がいっぱい出てきます。もし「ブレイザー 研究家」がいたなら、必読書となるでありましょう。
ジェロームが出てくるミステリに、『毒薬』があります。エド・マクベインが、1987年に発表した物語。

「尋問の間に、掃除婦によって雇い主はジェローム・マッケノンとわかったので……………………。」

ある事件に巻きこまれた男の名前が、ジェローム・マッケノンだったわけです。『毒薬』には、こんな描写も出てきます。

「男は濃紺の背広を着て、縞の絹シャツにグレイのタイをしめ、ピカピカに磨いた黒い靴をはいていた。」

これは、アルベルト・イダルゴという人物の着こなし。シルクのドレス・シャツなんですね。
シルク・シャツを着て、ジェローム・K・ジェロームの初版本を探しに行きたいものですが。

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