ストッキングとスカート

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ストッキングは、長靴下のことですよね。st ock ing と書いて、ストッキング」と訓みます。
英語としての「ストッキング」は、1583年頃から使われている言葉なんだそうです。このストッキングのもとの言葉は、「ストック」st ock これは「編棒」に意味だったとか。編棒で仕上げたものだったから、「ストッキング」の言葉が生まれたんだそうです。

「………レースの襟をかけた桃色の洋服を例の裾短に蹴つて、水色の絹襪に小さな半靴を穿いたのが、道子と同年の仲好……………。」

明治三十八年に、徳冨蘆花が発表した小説『黑潮』に、そのような文章が出てきます。徳冨蘆花は、「絹襪」と書いて、「シルクストツキング」のルビを添えています。
「襪」は日本の古い言葉で、足袋の前身。襪と書いて、「しとうず」と訓むのですが。これは小説に描かれるストッキングとしては、わりあい早い一例かと思われます。

「群青色のスカートが風にそよいで、黒いストッキングの細やか足首が痛々しそうに潮風に吹かれる。」

大正八年に、吉屋信子が書いた『花物語』にも、そのように出ています。これは船の甲板での様子ですから、スカートが風にそよぐわけですね。

ストッキングが出てくる小説に、『スカラムーシュ』があります。1921年に、
ラファエル・サバチニが発表した長篇。ただし物語の背景は、フランス革命期に置かれたいるのですが。

「チョッキもビロードで黄色をおびた杏色、細ズボンとストッキングは黒い絹で、漆塗りの赤い踵の短靴はダイヤをちりばめた留金でとめてあった。」

これは、「ラ・トール・ダジル侯爵」の着こなしとして。
この文章のすぐ前には、このように書かれています。

「金モールのついた暗紫色のビロードのフル・スカートの上着をゆったりと身につけていた。」

これも同じく、「ラ・トール・ダジル侯爵」の装いとして。
ここでの「スカート」sk irt は、上着の「裳裾」のこと。もう少し厳密に申しますと、腰縫目から下の部分。「フル・スカート」ですから、裳裾が大きくふくらんでいるわけです。
どなたかスカートの美しい上着を仕立てて頂けませんでしょうか。

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