シャンゼリゼは、パリ中心の大通りですよね。大通りというよりは細長い公園と、言うべきでしょう。果たしてこちら側から、あちら側へ渡れるんだろうかと、思えてくるほどです。
シャンゼリゼの近くで生まれたイギリス人に、サマセット・モオムがいます。
モオムは、1874年1月25日、パリに於いて誕生。これはこモオムのお父さんが、パリの英国大使館の顧問弁護士だったことによるものです。
モオム家は代々、弁護士の家系で、サマセット・モオムが珍しく法律方面に進まなかったくらいのものでしょう。
モオムは旅がお好きだった作家。旅の途中で、名短篇を生んだ作家。そうも言えるでしょう。
モオムがシンガポールで常宿にしたのが、「ラッフルズ・ホテル」。モオムが愛したホテルのベスト・スリーではないでしょうか。
この「ラッフルズ・ホテル」を題材にした短篇に、『モームの部屋』があります。
1989年『月刊Asahi』6月号に、村松友視が発表した小説。ラッフルズ・ホテルの「モームの部屋」に泊まる話。主人公は「秋月」。たぶん、村松友視が投影されているのでしょう。
「イギリスの作家サマセット・モームがシンガポールを訪れ、ここの中庭に面した七八号室にたびたび逗留してことはよく知られている。」
村松友視は『モームの部屋』に、そのように書いています。
シャンゼリゼが出てくる論文に、『友情論』があります。1928年に、フランスの作家、アベル・ボナールが発表した論文。
「これはシャン=ゼリゼにおける死者たちの楽しみである。」
これは古代ロオマでの、論争の楽しみについて。ボナールによれば、ギリシア、ロオマにも」シャン=ゼリゼ」があったんだそうですね。
「恋愛は人を強くすると同時に弱くする。友情は強くするばかりである。」
ボナールの『友情論』には、多くの箴言、名言が出てきます。
また、こんな一節も出てきます。
「私が最もよく知っていた男の子は、欠点のない服以外の服を着た仕立屋というものは想像できず完璧な靴をはいていない靴屋というものは想像できなかった。」
まあ、理想ではありましょうが。いつも理想が現実であるとは限らないのですが。
どなたか完璧なスーツを仕立てて頂けませんでしょうか。