スペインとスリット

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スペインは、闘牛の国ですよね。また、多くの藝術家を生んだ国でもあります。
ピカソや、スキャパレリの例もあるではありませんか。
そしてまた、美食の国でもあります。パエリアは広く識られているところでしょう。
さらには、生ハム。スペインの生ハムは世界中で好まれています。やはりスペインの気候風土が生ハムに合っているのでしょう。
大正四年に、スペインを旅した画家に、川島理一郎がいます。川島理一郎は、藤田嗣治やピカソとも親友だった人物です。
川島理一郎には、『マドリッドの服飾行列』の紀行文があります。

「………スペイン特有のカンカン帽を被むり、腰のピッタリと詰ったズボンをはいた純スペイン風の伊達者が………」

これは闘牛のある日の午後三時頃の様子。
男ばかりでなく、貴婦人も。皆々、これでもかと盛装して、その日の闘牛に華を添える習慣があったんだそうですね。
当時は、馬車の時代だったので。これが自動車の時代になって、「服飾行列」は下火になったという。

「スペインふう」が出てくる小説に、『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』があります。
1896年に、ゲエテが発表した長篇。

「スリットのあるスペインふうの袖をつけた絹の短いチョッキと裾のふくらんだ細身の長ずぼんとが、とてもよく似合っていた。」

これはイタリアでの見聞として。
「スリット」slit は、1200年頃からの英語なんだそうですが。これは古代英語の「スリッタン」slittan
と関係があるらしい。その意味は、「切り開く」だったという。
女の人のタイト・スカートにスリットは不可欠でしょう。
男の服にも、時としてスリットが用いられることも。上着の袖口がボタン留めでなく、あえてスリットがあしらわれていたり。
また、スリムなパンツの裾口にスリットが添えられていたり。
どなたか袖口にスリットのある上着を仕立てて頂けませんでしょうか。

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