指笛は、口笛の一種ですよね。口笛は唇だけを使って音を奏でる方法。これに対して指笛は、口の中に指を丸めて入れて音を出すやり方のこと。
「………丸田は此の練兵場の隅々までも響くような指笛を鳴らして見せた。子供は喜んだ。」
大正七年に、宮地嘉六が書いた小説『煤煙の臭い』に、そのような一節が出てきます。
指笛がお得意だった作曲家に、武満 徹がいます。武満 徹のお父さん、威雄が指笛の名人だったので、武満 徹も自然に覚えたものなのでしょう。。
お父さんが指笛を吹くと、鳥たちが集まって来たという。
武満
徹が指笛を吹いたからかどうなのか、ピアノが飛んで来て。昭和二十九年のこと。ピアノの贈り主は、黛敏郎。そのピアノはアメリカの「ガルブランセン」のピアノだったと伝えられています。
昭和二十九年には、まだ黛 敏郎と武満
徹とは面識がなかったにも関わらず。ただ単に、「才能ある音楽家で、ピアノを持ってない男がいる」と聞いて、早速に贈ったんだそうですね。
昭和二十九年は、まだ戦後の片付けが終わっていない時代でしたからね。
シュルレアリスムの瀧口修造もまた、武満 徹の才能を認めた人物で、ウールの、グレイのハーフ・コートをくれたりしたんだとか。武満浅香著『作曲家・武満
徹との日々を語る』に出ている話なのですが。
「あるときなんか進駐軍の洋服みたいなのを着ていて、私たちは「やあね」なんて言っていたんです」
「進駐軍の洋服」。戦後間もなくの日本中に、ありました。「アメリカ中古衣料」の幟が立っていました。要するにアメリカの救援物資のひとつだったのでしょう。
今日のブルー・ジーンズの歴史もまた「アメリカ中古衣料」からはじまっています。
言葉を換えますと、「ユーズド・クロス」。日本でのユーズド・クロスが、「アメリカ中古衣料」から生まれているのは、間違いないでしょう。
どなたか1940年代の忠実な復刻服を仕立てて頂けませんでしょうか。