タクシーとタッサー

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タクシーは、タキシのことですよね。昔の日本語では、「タキシ」と言ったんだそうですね。
taxi と書いて「タクシー」と訓みます。もともとは「タクシー・キャブ」タクシー・キャブを略して、「タクシー」。
その前はと申しますと、「タクシーメーター・キャブ」。料金計算機つきのキャブ。キャブは、「キャブリオレ」。幌が畳める式の馬車だったわけですね。

「そう思って、河岸にそうて、数寄屋橋に出て、そこからタクシに乗ろう、と歩をすすめた。」

宇野浩二が、大正十三年に発表した小説『晴れたり君よ』に、そのような一節が出てきます。宇野浩二は、「タクシ」と書いているのですが。
大正十年代には、数寄屋橋には、ちゃんと河が流れていたのでしょう。

「やっぱり、息子は、タキシを倹約する了簡らしい。」

獅子文六が、昭和二十九年に発表した『青春怪談』に、そのような文章が出てきます。これは、母と息子が外出する場面として。お母さんはタクシーで行きたいのだけれど。
獅子文六は、「タキシ」と書いています。
タクシーが出てくる小説に、『アスペクツ・オブ・ラブ』があります。1955年にデイヴィッド・ガーネットが発表した物語。

「アレクシスはリヨン駅で汽車を降り、タクシーをつかまえて、サー・ジョージ・ディリンガムがフラットを借りているサン・ルイ島へ走らせた。」

ジョージ・ディリンガム卿は、どんなシャツを着ているのか。

「ワイシャツはタッサー・シルク製デ、リアンダー・タイをしめ、アクアマリンをはめた重そうな純金yおう飾りリングに通していた。」

「タッサー」tussah は、本来「野蚕絹」のこと。軽くて丈夫、横畝の美しい絹地です。
どなたかタッサーのシャツを仕立てて頂けませんでしょうか。

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