ポニイとポプリン

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ポニイは、仔馬のことですよね。pony と書いて「ポニイ」と訓みます。
イギリスでは、「シェットランド・ポニイ」が有名なんだそうですね。ポニイ、仔馬。なぜか可愛い印象があります。

柵越しに 麦食む子馬 はつはつに 相見し児らし あらにかなしも

『萬葉集』に、そんな歌が出てきます。
「麦を食べてる仔馬を柵越しに見るように、あの子が可愛い」。ざっとそんな意味なのでしょうか。
少なくとも『萬葉集』の時代にも、仔馬がいたものと思われます。
仔馬の話はよく童話にも出てきます。たとえば、『仔馬は帰りぬ』。その昔、吉田弦二郎が書いた物語。吉田弦二郎は明治から大正にかけて活躍した小説家。その一方で「早稲田大学」の先生でもあった人物。その時代の生徒のひとりに、井伏鱒二がいるのですが。
吉田弦二郎の『仔馬は帰りぬ』の主人公は、「新作」。新作の愛馬が、「ビック」という設定になっています。

「仔馬はいかにもうれしさうに眠つてゐる新作の周囲をめぐつて草を喰んでゐた。」

これが『仔馬は帰りぬ』の最後の一行。
実はビックは新作が知らないうちに、よそへ売られていた。それを長い間かけて、新作が買い戻す。五十両で。ところがビックはちゃんと新作のことを覚えていたのです。ざっと、そんな内容になっています。

あるいはまた、『仔馬』と題する短篇もあります。1926年に、ショーロフが発表した小説。

「五分ののち、仔馬の冷えきった腹を持ちあげるようにして、したたかに水を飲みながら、トロフィムが左岸をさして泳いでいた。」

ここでの「トロフィム」は、一兵卒。もちろん戦争中の話。一兵卒のトロフィムに、仔馬が与えられて、いつの間にか互いに愛情が生まれる。そんな内容になっているのですが。

「人生で、かわいい子馬を持つことが重要だということをクライヴに教えた人物でもあった。」

スティーヴン・キングが、2000年に発表した小説、『かわいい子馬』に、そのような一節が出てきます。
おじいさんのジョージ・バニングがそのように教えてくれたのですが。
うーん、余裕さえあれば仔馬を飼ってみたいところではありますがね。

「赤毛で子供の子馬が、仕切りの中からジョーディーをじっと見つめているのだ。耳をぴんと立てて前に出し、強情そうに目を光らせている。」

ジョン・スタインベックの名作に、『赤い子馬』があるのは、ご存じでしょう。原題もまた、『レッド・ポニイ』になっているのですが。
ジョン・スタインベックの短篇に、『人を率いる者』があります。この中に。

「祖父は黒いポプリンのスーツを着て、キッドのコングレス・ブーツをはき、短い固いカラーに黒いネクタイを締めていて、手にはスラウチハットを持っていた。」

そんな文章が出てきます。「コングレス・ブーツ」は、サイドゴア・ブーツの一種。「スラウチハット」は、ソフト帽の一種なのですが。
「ポプリン」poplin は、横畝のある絹地。十七世紀のフランス、アヴィニオンで織られたので、その名前があります。
当時のアヴィニオンは、ポープ(教皇)のいらっしゃる場所だったので。
どなたかポプリンのスーツを仕立てて頂けませんでしょうか。

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