自由軒は、店の名前にもありますよね。
たとえば、大阪、難波新地にも、「自由軒」が。
ライスカレーの店として、あまねく人々にl知られている店。
明治四十三年の創業。吉田四一が、リヤカーは引いてはじめたんだとか。
でも、カレー専門店でもなくて。たいていの洋食を出す店でもあります。
が、中でも好評なのが、ライスカレー。ライスとカレーとがあらかじめ混ざって出てきます。上に生タマゴが乗って。
「自由軒」三代目が、吉田四郎。吉田四郎の時代に毎日のように通ったのが、織田作之助。文壇に売り出す前の
織田作之助が。
この自由軒で練った作が後の『夫婦善哉』だと言われています。
そんなこともあって、織田作之助の代表作『夫婦善哉』には、「自由軒」のライスカレーが出てきます。
「自由軒のラ、ラ、ライスカレーは御飯にあんじょうま、ま、ま、まむしてあるよって、うまい。」
これは物語の主人公「柳吉」の科白として。
織田作之助の『夫婦善哉』にそのような一節が出てきます。
織田作之助と喫茶店の話。
織田作之助が『夫婦善哉』を発表する少し前の、昭和十一年のこと。
東京、本郷、東大近くに「紫苑」という喫茶店がありまして。マダムがこの店を譲るという。
織田作之助の親友だった青山光二の『青春の時代』に、出ている話なのですが。
マダムから店を譲ると言われたのは、青山光二。その時、ふっと思ったのが、織田作之助のこと。
さっそく手紙で大阪の織田作之助に知らせると、「やりたい。」
すぐに上京してマダムにあって。周旋屋に。でも、周旋屋と話がうまくなくて、結局、立ち消えになったという。
織田作之助の『夫婦善哉』を読んでおりますと、「柳吉」が剃刀屋を開く場面があります。
「客足がさっぱりのかず、ジレットの一つでも出るのは良いほうで、」
そんな文章になっています。
「ジレット」Gillette は、1901年のはじまり。
1903年には世界初の替刃式安全剃刀を売り出しています。
どなたかジレットで剃った顔に似合いそうなスーツを仕立てて頂けませんでしょうか。