ストーンとスモーキング ・ジャケット

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ストーンは、石のことですよね。
st on e と書いて、「ストーン」と訓みます。が、イギリスでは重さの単位として「ストーン」がよく用いられるのです。たとえば、体重なんかでも、○○ストーンとなります。
アメリカなどでは、○○ポンドと表現するところを、イギリスでは例外なく「ストーン」であらわすのです。日本では「キロ」ですがね。
イギリスの「1ストーン」は、約6、4キロのこと。昔むかし、ざっと6キロくらいの目印になる石があったのでしょうか。
日本に「細石」があるように、英語にも「グランニュル」があります。「さざれいし」は、うんと細かい石。グラン gr an ul e も同じく微細な石のことなんだそうです。
その一方に、大きな石もありまして。ひとつの例を挙げますと、
「ロゼッタ・ストーン」。1799年に、エジプトのロゼッタで発見された石なので、「ロゼッタ・ストーン」。
高さにして軽く1メートルを超えるのですから、決して小さくはありません。
1799年にエジプトに遠征したナポレオン軍の士官、ブシャールが偶然に、発見。
ロゼッタ・ストーンの正体は、黒い花崗閃緑岩だと考えられています。花崗閃緑岩と書いて、「かこうせんりょくがん」と訓むのだそうですが。
もともとはもっと巨大な岩石だったのでしょう。が、石碑のために、平たく加工したわけですから、その技術だけでも、讃えられて然るべきでしょうね。
ロゼッタ・ストーンには、ヒエログリフをはじめ三つの言葉で、碑文が刻まれていて。1822年になって、解読。フランスの言語学習、
シャンポリオンによって。
このことから、ヒエログリフの解読が一気に進歩したとのことです。
でも、その前に。1801年に。エジプト駐留のフランス軍をイギリス軍が攻めて。結局、ロゼッタ・ストーンは現在、「大英博物館」の所蔵となっています。
ロゼッタ・ストーンの重さ、760キロ。イギリス式には、○○ストーンということになるのでしょうか。
ロゼッタ・ストーンが出てくるミステリに、『エジプト十字架の謎』があります。1932年に、エラリイ・クイーンが発表した物語。

「………どうやってあのエジプト学にとって貴重きわまりない、有名な玄武岩の石碑 ーー ロゼッタ・ストーンを発見したかを。」

『エジプト十字架の謎』には、「玄武岩」とありますが。初期には玄武岩だと思われていたので。後になって、「花崗閃緑岩」だと判明したことによるものです。
『エジプト十字架の謎』には、こんな描写も出てきます。

「………ねずみ色のフランネルのズボンをはき、絹のシャツのえり元がはだけて、白い靴に白い靴下をうがち、びろうどのスモーキング ・ジャケットを着ていた。」

これは富豪の、トオマス・ブラッドの着こなし。
1930年頃のアメリカでも、「スモーキング ・ジャケット」を着る習慣のあったことを示す、貴重な資料でもあるでしょう。
アメリカ英語としての「スモーキング ・ジャケット」は、1900年頃から用いられているとのことです。
おそらくはイギリスの習慣をアメリカに輸入したものでしょう。
どなたか現代に通用するスモーキング ・ジャケットを、仕立てて頂けませんでしょうか。

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