シャブリとシャツ

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シャブリは、フランスの白ワインの名前ですよね。ブルゴーニュ地方の、優れたヴァン・
ブラン。
Ch ab l is と書いて、「シャブリ」と訓みます。シャブリはもっともよく知られた白ワインともいえるかも知れません。
今日のシャブリは、この地の「スポンティーニ修道院」と関係があるとの説があります。
「スポンティー修道院」は、1114年の創設。
この時、土地を借り受けて。その年間の借地料が、六ホッグスだったという。
六ホッグスは、1,464リットル。つまりお金で支払うのではなくて、物納。ワインで支払う。
支払ったワインは、近くを流れるヨンヌ川を利用して巴里などに送られたんだそうですね。
では、なぜ、シャブリは高貴であるのか。土壌。シャブリの土地は主に石灰岩で、これがために極上のミネラル香が生まれると考えられています。
現在のワイン造りは多くステンレス・タンク。でも、シャブリでは今なおオークの樽に寝かせるドメエヌも少なくはありません。
たとえば、「ドメエヌ・フランソワ・エ・ジャン・マリイ・ラヴノオ」では、樫の樽を使うことがあるとのことです。
シャブリが出てくる小説に、『甘美なる作戦』があります。イギリスの作家、
イアン・マキュアンが、2012年に発表した物語。

「わたしたちは出かける支度をするが、アパートを出る前にシャブリのボトルをあらかた開けてしまった。」

『甘美なる作戦』の時代背景は、1970年代はじめに置かれています。
女主人公は、「セリーナ・フルーム」。彼女の語りで物語が進んでゆく形になっているのですが。
『甘美なる作戦』には、こんな描写も出てきます。

「彼はまだ上着を着ておらず、ジャーミン・ストリートで買った三枚のシャツのひとつを着ていた。」

これは「セリーナ・フルーム」の恋人とという設定。そしてその「彼」は言う。

「すべての男はシャツの<コレクション>を持つべきなのだ。」

勝手な想像ではありますが。著者、イアン・マキューアンの考えでもあるのでしょう。
それはたぶん「趣味」を持て、「思想」を持てということかと思われます。
あれやこれや、色とりどりに、賑やかに。それもまあ結構ですが。「私の下着はコレ」と決めたおくのもひとつの方法でしょうね。

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