マシンとマッキノー

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マシンにも、いろんなのがありますよね。
たとえば、タイムマシンとか。もしタイムマシンをあったとして。未来の国に行きたいのか、過去の世界に行きたいのか。これも好みによって分かれるところなんでしょうね。
タイムマシンの完成がいつの日であるのか、知りません。でも、タイムマシンを空想する人の心の深さは素晴らしいと思います。
F1レースなんかでは車のことを、「マシン」と呼んだりも。これがイタリアに行きますと、ふつうの車も、「マッキナ」。これは「機械」の意味。トヨタでもニッサンでも、「マッキナ」。なんだかF1レースに行くみたいで、愉快になってしまいます。
スロットマシンは、コインで遊ぶゲームのことですね。スロット (細長い溝 ) にコインを入れるから、スロットマシン。
スロットマシンは1889年、サンフランシスコではじまっています。チャールズ・アウグスト・フレイが発明したんだとか。
ただしその時の名前は、「リバティー・ベル」 ( 自由の鐘 ) 。リバティー・ベルが三つ揃うと、コインが十枚出てくるようになっていたからです。このチャールズ・フレイの「リバティー・ベル」は、今もリーノのカジノに保存されているそうです。
スロットマシンが出てくる小説に、『世慣れた男』が。ヘミングウェイの、短篇。それはこんなふうに書きはじめられる。

「その盲目の男は、酒場にあるすべてのスロットマシーンの音を聞き分けられた。」 ( 高見 浩 訳 )

この短篇の原題は。A Man of the World なんですね。だからというわけではありませんが。ヘミングウェイほど「男」を追い求めた作家も珍しいのではないでしょうか。「男とは何か」。「男はいかに生きるべきであるのか」。「男の美学はどうあるべきなのか」。
ヘミングウェイは少年のころから、「男」を強く意識していたようですね。それはヘミングウェイの少年期を描いた『最後の良き故郷』にも、あらわれています。それはともかくとして。この小説に、次のような一節があります。

「ニックは古いマッキノー・コートを着、ザックを探ってウイスキーの一パイント壜を探しだした。」

このニック・アダムズこそ、少年期のヘミングウェイなのです。
いつの日にか、タイムマシンに乗る時があったなら。マッキノーを着るとしましょうか。

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