鳥獣戯画とサヴィル・ロウ

20150402
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鳥獣戯画は、有名ですよね。なんといっても、国宝なんですから。正しくは、「鳥獣人物戯画」というらしい。ほんとうは人なんでしょうが、それをウサギやカエル、サルなんかに置き換えて描いている。
およそ十二世紀の絵ではないかと。もし、そうだとすると、千年近く前の絵ということになります。鳥羽僧正の筆とも言われているのですが。実際には何人かの僧侶の手になるものではないか、と。
鳥獣戯画ならぬ、『鳥獣虫魚』。こちらは、小説の題名。昭和三十四年に、吉行淳之介が書いた短篇。

「その頃、街の風物は、私にとってすべて石膏色だった。」

これが物語の第一行なんですね。「私」はふとしたことから、ある女に会う。彼女は画家という設定。だからというわけではないのですが。吉行淳之介はまるで絵画を描くように小説を書いた作家なのかも知れませんね。
吉行淳之介が好きだった画家が、パウル・クレー。パウル・クレーについては、吉行淳之介何度か筆を執っています。
パウル・クレーがもっとも多作だったのが、1939年。この一年間で、約1,253点の絵を仕上げています。
1939年の話が出てくるミステリに、『ウォリス家の殺人』が。1981年に、D・M・ディヴァインが発表した物語。

「ウォリスは小説『低い月』(一九三九)で文学界にデビューした。」

これは登場人物の、ジェフリー・ウォリスのこと。また、こんな描写も。

「グレーのスーツは非の打ち所ない仕立てで、サヴィル・ロウの品と、ひと目でわかる。」

これは主人公の友人、デュランドの着こなし。
サヴィル・ロウではありませんが。お気に入りのスーツを着て。鳥獣戯画を観に行きたいものですね。

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