ワインとヴァイエラ

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ワインお好きな人は、多いですよね。ワインは美味しくて、手頃な値段であるのが、嬉しい。
ワインはどんなふうに選べばよいのか。

「名前もラベルもヴィンテージなども忘れてしまうこと、そしてそこの品物に満足したおぼえのある業者が輸入ワインを選ぶことである。」

キングズレー・エイミス著『酒について』には、そんなふうに書いてあります。余談ではありますが。『酒について』は、吉行淳之介と、林 節雄との共訳。文中の「業者」には、「シッパー」のルビがふってあります。
シッパーは、英語。フランスなら、「ネゴシアン」でしょうか。ワインを専門的に扱う業者のことですよね。
英国の作家、キングズレー・エイミスは、ワインはネゴシアンで選べ、と言っているわけです。なるほど、これもまた、賢い方法でしょう。
イギリスには、「ジ・アーツ・カウンシル・ナショナル・ブック・アワード」というのがあるらしい。その年に発表された優れた本を讃えるための賞。これは国の多額の助成金で運営されているんだそうですね。
一時期、「ジ・アーツ……」の選考委員を務めていたのが、キングズレー・エイミス。そして1981年に。この賞を得たのが、『地獄の湖』。ルース・レンデルが、1980年に発表したミステリ。この中に。

「長目のPVCのジャケットの下に、ヴィエラのチェックのシャツ、黒いビロードのチョッキにブルーのデニムのズボン、首にはギリシアの女性の使うような長いスカーフを巻きつけている。」

これは、フィンという名前の若者の着こなし。「ヴィエラ」Viyella は、たぶん「ヴァイエラ」のことでしょう。
イギリス、ノッティンガムの、「ウイリアム・ホリンズ」社が開発した、毛と綿の交織地。会社近くの、古い地名に因んで、「ヴァイエラ」と名づけたんだそうですね。
さて、ヴァイエラのシャツを着て。美味しいワインを探しに行くとしましょう。えーと、ネゴシアン、ネゴシアン……。それが、出てこないんですが。

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