アステアといえばもちろん、フレッド・アステアですよね。
晩年のフレッド・アステアは、ビバリーヒルズの高台に住んでいたんだそうです。自宅にいる時の服装は、たいてい同じようだった。
グレイ・フランネルズのトラウザーズに、ピンクのシャツ。シャツの下にはペイズリー柄のシルクのスカーフ。足許には銀のバックル付きの、黒いスエードのローファー。
アステアはこの組み合わせが好きで、何年もこのスタイルだったという。
一方、舞台でのアステアは、ホワイト・タイの正装で臨むことが多かった。でも、スタジオでの録音や、ラジオ出演の時にも、燕尾服を着たと伝えられています。アステアにとってのイヴニングは、仕事着だったのでしょう。
1931年にアステアが出たミュージカルに、「ザ・バンド・ワゴン」が。「ザ・バンド・ワゴン」は、アデール・アステアとの共演が最後になったミュージカルでもあります。
NY、「ニューアムステルダム劇場」で、初日。1931年6月30日のこと。公演は、260回続いたという。
1931年に発表されたミステリに、『ガラスの鍵』が。いうまでもなく、ダシール・ハメットの代表作。長篇としては、『血の収穫』、『ディーン家の呪い』、『マルタの鷹』と来て、『ガラスの鍵』。ハメット自身は『ガラスの鍵』がいちばん好きだったとか。
ミステリでほかに「ガラス」とつくものに、『ガラスの村』が。エラリイ・クイーンが、1954年に発表物語。この中に。
「青い上品なギャバジンの服と真珠色の中折帽の……」
これは新聞記者の、アッシャー・ピーグの着こなし。1953年ころ、35ドルで買った帽子とも、説明されています。たしかに、パール・グレイは優雅な色ですよね。
なにかパール・グレイのものを身につけて。アステアの映画を探しに行くとしましょうか。