あやめとホワイト・バックス

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「いずれ菖蒲か杜若」などと、よく言いますよね。似ていて、どっちも美しいから。
菖蒲なのか、百合なのか。フランス王家の紋章は、「フルール・ド・リス」ということになっています。よく見る紋章ですよね。あれは百合というより、むしろ菖蒲に近いんだそうです。
菖蒲を紋章化するのは、フランスに限らず、古代からいろんな国で使われていたようです。菖蒲の美しさになにか神聖な印象があったのでしょうか。
中世ヨーロッパで貴重な金貨とされたものに、フローリン金貨があります。当時のフィレンツエ共和国で発行されたもの。このフローリン金貨にも、「フルール・ド・リス」が刻印されていたものです。
金貨を巡ってのミステリに、『高い窓』があります。1943年に、レイモンド・チャンドラーが発表した物語。「ブラッシャー・ダブルーン」という、アメリカの古い、希少な金貨が登場するハードボイルド。1943年といえば第二次大戦中のことなんですが。この中に。

「レスリーは前かがみに椅子に腰をおろし、白いバックスキンの靴に目をやったまま……」

レスリー・マードックは、ある富豪息子という設定。これはたぶん、ホワイト・バックスを履いているんでしょう。
なにか白い靴で。あやめを見に行くしましょうか。

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