ライトとキャップ

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昔、ライトという名前の人がいたんだそうですね。
ウイラード・ハンティング・ライト。合わせて七つの大学に学んだという。はじめ音楽をめざし、次に画家をめざし、一時は新聞記者にも。
もともとはアメリカ人なんですが。第一次大戦中は、パリで著作に耽る。その後、ロンドンに移って、執筆。
1920年代のはじめにふたたび、アメリカに。1923年の朝、突然に。ベッドから立ち上がれない。神経衰弱。で、いっさいの読書を禁じられる、この生活が、二年間。でも、ある時医者は、軽い読物ならいいでしょう、と。
そこで、ライトはありとあらゆるミステリを読破。で、今度は自分で書いてみることに。ミステリを読んで神経衰弱が治ったんでしょうね。
それが1926年の『ベンスン殺人事件』。ただしヴァン・ダインの筆名で。ここに登場する名探偵が、ファイロ・ヴァンス。
ファイロ・ヴァンスが出てくるミステリに、『あるスパイの墓碑銘』が。エリック・アンブラーが、1938年に発表した物語。

「「ファイロ・ヴァンスは手がかりを見つけたらしいわね」と少女はいった。」

少女が主人公の、ジョゼフ・バダシーに対しての科白なんですね。また、こんな描写も。

「すると舷門から、白い麻服を着たヨット帽の男が出てきた。」

ある水夫の着こなし。いいなあ。ヨット・キャップ。
なにかキャップを被って。ライトの本を探しに行くとしましょうか。

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