食卓についての名言といえば、サヴァランでしょうね。
もちろん『美味礼讃』の著者。ブリア=サヴァラン。
「食卓こそは人をその初めから退屈させない唯一の場所である。」
ブリア=サヴァランはまた、こんなことを言っています。
「新しいごちそうの発見は、人類の幸福において新しい天体の発見以上のものである。」
ブリア=サヴァランはトリュッフについても書いています。
「一七八0年ころ、トリュッフはパリではまだまれであった。」
では、パリでトリュッフが流行になるのは、いつころなのか。1820年代なんだとか。『美味礼讃』は、1825年の刊行。つまり『美味礼讃』はトリュッフ流行期に出ているわけですね。
トリュッフが出てくる小説に、『大統領がランチにやってくる』が。ナン&アイヴァン・ライアンズが、1988年に発表した物語。この物語の背景は、NYのレストラン、「リビーズ」。「リビーズ」の名物料理が、「トリュッフのホットパイ」という設定。
フォアグラの薄切りと、マッシュルーム、リ・ド・ヴォー、それにトリュッフを添えた料理なんですね。そしてこの物語には、こんな描写も。
「わたしがロンドンのターンブルで仕立てさせて送らせたシャツを着るといい……」。
これは銀行家で、大富豪の、ドナルドの科白。「ターンブル」は、たぶんターンブル&アッシャーのことなんでしょう。
さて、お気に入りのシャツを着て。お気に入りの食卓に向かうとしましょうか。