アラビアン・ナイトは、長い長い話ですよね。
そもそものはじまりは、サルタン・シャフリアル。インドはもちろん広いアジアの王様。この王様、哀しいことに、女性不信なんですね。それもかなり徹底した女性不信。
結婚した姫を次つぎに亡き者に。それを知ってなお王妃となるのが、シェラザード。シェラザードには秘策があったのです。その秘策は、面白い話。
『アリババと四十人の盗賊』とか、『シンドバッドの冒険』とか、『アラジンと魔法のランプ』とか。で、話がいいところにさしかかると、「この続きはまた明日しましょうね……」。
これで、王様、王妃をあやめることができない。これが千と一夜続いて、とうとう王様の女性不信が解けたという。それで、『千夜一夜物語』なんですね。
この『アラビアン・ナイト』に感動したのが、リムスキー・コルサコフ。リムスキー・コルサコフの『シェラザード』は、1888年の夏に完成しています。リムスキー・コルサコフは楽譜の前に、こんなことを書いています。
「 シェラザードは千一夜にわたって生きながらえ、サルタン・シャフリアルにその残酷な誓いを捨てさせたのである。」
リムスキー・コルサコフの『シェラザード』がバレエとなって、初演されたのが、1910年のこと。パリの国立オペラ劇場で。この中で奴隷の役を演じたのが、バレエの名手、ニジンスキーだったのです。
アメリカの作家、O・ヘンリーが世を去ったのが、6月5日。パリで『シェラザード』が公演された翌日のこと。O・ヘンリーの短篇に、『ロートスの実とワインの瓶』があります。この中に。
「領事ゲディはペンを置くと、パナマ帽と日除け傘とをさっと摑んだ。」
これはある南国の、アメリカ領事、ウィラード・ゲディが、外出しようとする場面。たぶん外は日差しが強いのでしょう。誰か男物のパラソル作ってくれませんか。
パラソルをさして。古い『アラビアン・ナイト』の本を探しに行きたいものですが。