源氏とマフラー

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Email this to someone

源氏といえば、『源氏物語』でしょうか。
今からざっと千年前の、物語。紫式部の作だろうと、考えられています。長篇。長い、長い、物語。
まず『桐壺』からはじまって。『帚木』、『空蝉』、『夕顔』、『若紫』……。だんだんと読み進みまして。『葵』あたりで降参する人のことを、「葵源氏」と呼ぶんだそうですね。
でも、ほんとうは、『賢木』、『花散里』、『須磨』、『明石』……。続きまして。五十四帖。それで「源氏五十四帖」というんだそうですね。
ある洒落者が『源氏物語』を読んで、ひと言。
「なんでえ、プレイボーイの話じゃねえか」
『源氏物語』をパリで朗読した話。1991年度ころに。朗読したのは、岸田今日子。岸田今日子著『スリはするどこでする』に出ています。場所はパリの、フランス大使館で。

「吾ながら力のない声だけれど、この作品には案外似合っているのかも知れないと、気を取り直す。身籠った葵に源氏が逢いに行く。祈禱の甲斐なく弱り切った葵の声音が、いつもと違う。よく聞くと、「そはかの御息所なりけり」といって終りになる。」

『スリはするどこでする』には、「続・外国遠足日記」の副題が添えてあります。つまり、ヨーロッパ旅日記にもなっているのです。ヨーロッパの旅ですから、当然、シャトー巡りもあったりして。

「ベージュのレインコートは、かなりいい仕立てのラグラン袖で、ベルトをざっくり結んでいる。衿に巻いたマフラーが、ちょっと異様な位、赤いのだ。」

これはシャトーを案内してくれたフランス人男性の着こなしなんですね。その後の旅先で、友だちと赤いマフラーでもちきりに。さすがに、よく視ていますね。フランスは空気が乾いていますから、色が明るく見えるんでしょう。
なにか好みのマフラーで。公園のベンチで源氏を読むとしましょうか。

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Email this to someone