DOMから想い浮かべるものに、ベネディクティンがありますよね。ベネディクティンの壜の真ん中あたりに、「DOM」と書いています。
あの「DOM」は、デュオ・オプティモ・マキシモの頭文字なんだそうです。「最善最高の神に捧ぐ」の意味なんだとか。
ベネディクティンはひと口に言って、薬酒。ヒソップ、アンジェリカ、コリアンダー、クローブ、ナツメグ………など。ざっと27種の薬草が抽出されているんだそうです。
薬酒は昔から修道院と関係が深いらしい。たとえば、エッテル修道院。ドイツ、ババリア地方、オーバーアンメルから近い僧院。ここでは1330年から薬酒が造られているとのこと。
一方、ベネディクティンは、1510年に誕生したと伝えられています。北フランス、ノルマンディー、フェーカンのベネディクト修道院で。ベルナルド・。ヴィンチェリーという僧が思いついたんだそうですね。
ポール・モーランの『夜ひらく』にも、ベネディクティンが出てきます。
「ベネジクチンの瓶をかかえて食堂に出る外国人は尊敬される。」
ところでベネディクト修道士が出てくるミステリに、『裏切りへの七歩』があります。マイケル・ハートランドが、1985年に発表した物語。
「五十年前は、黒衣のベネディクト修道士たちがせわしなく行きかっていたのだろう。」
これはウィーンでの街での話として。また、こんな描写も。
「グリーンの長いローデン・コートに毛皮帽という姿はいかにもオーストリア人らしく見える。」
これはウィーン駐在の、国連英国大使、ウィリアム・ケーブルの姿。
ローデン・コートは北ヨーロッパではまるで冬の制服のように着られているものです。