キャロルとキャンブリック

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キャロルはふつう、女の子の名前ですよね。あるいはまた、聖歌の意味もあるんだそうです。「クリスマス・キャロル」だとか。
昔のポップスにも、『オオ、キャロル』というのがあって。1959年頃に流行ったものです。
♬ オオ、キャロル、アイアム・バット・フール…………。
たしか、そんな風にはじまったような記憶があります。 ニール・セダカが歌っていました。 でも、これはほんとうにあった話を歌にしたんだそうですね。ちょうどその頃、ニール・セダカは、やはり歌手のキャロル・キングに熱をあげていて、それを歌にしたところ、拍手喝采となったんだそうですね。やっぱりほんとうのことは、聴く人の心に伝わるんでしょね。
で、同じ年に。キャロル・キングは『おお、ニール』の歌を作っています。まあ、これも、「返歌」のひとつなんでしょうが。
ニール・セダカは、1939年の生まれ。十九歳の時に。『間抜けなキューピッド』を作って、コニー・フランシスが歌っています。これが、大ヒット。ここから、『オオ、キャロル』へとつながっていくわけですね。
キャロルはキャロルでも、キャロル・ロンバード。もちろん、アメリカの女優。女優でもあり、またクラーク・ゲイブルの奥さんでもあったお方。このキャロル・ロンバードが出てくるミステリに、『さよなら、愛しい人』があります。1940年に、レイモンド・チャンドラーが発表した物語。

「世界中探してもこんな素敵なベッドはない。彼らはキャロル・ロンバードから買った。そのベッドは彼女にはソフトすぎたのだ。」

『さよなら、愛しい人』には、こんな描写も。

「クリップでポケットにとめられた金色のペンシルがあり、降りたちの粉雪の真っ白でさらりとしたキャンブリック製のハンカチーフが二枚あった。」

これは洒落者、リンゼイ・マリオの持ち物。「キャンブリック」 cambric は、光沢の美しい、コットンのこと。フランス、北東部、カンブレー Cambrai ではじまった織り方だと考えられています。
もちろん、ハンカチ以外にも、大いに活用したい生地であります。

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