猫は、可愛いものですよね。猫は、ウイスキーと大いに関係があったんだそうです。
もちろん昔むかしの、スコットランドでの話なんですが。スコットランドでのウイスキー造りは、まず大麦を用意するところから。でも、大麦はネズミの好物でもありまして。ウイスキーの原料になる前に、ネズミに取られてしまっては、困る。そのネズミ退治のために、たいていの醸造所では猫を飼っておいた。この醸造所の猫を、「ウイスキー・キャット」と呼んだものであります。
スコットランドではなくて、京都の猫の話。むかし、江戸、元禄のころ。京町に「薄雲」という名の、それはそれはお美しい遊女がいて。この「薄雲」が大の猫好きで。小さな、可愛い、三毛を可愛がって。
「薄雲」は、緋縮緬で、首輪を作って、鈴をつけて。それがために、その時代の遊女の間で、猫を飼うこと、流行ったんだそうですね。それはともかく、少なくとも江戸時代には猫に鈴をつける習慣があったものと思われます。
猫がお好きだった詩人に、宮澤賢治がいます。宮澤賢治がほんとうにどんな猫を飼っていたのかは、知りません。でも、宮澤賢治の詩に、多く猫が登場することは間違いありません。かの有名な『風の又三郎』にも、猫が。この猫は人間のように会話できる猫なのですが。
宮澤賢治といえば、『小岩井農場』と題された詩があります。この中に。
「遠くでは鷹がそらを截つてゐるし
からまつの芽はネクタイピンにほしいくらゐだし………………」。
「からまつの芽」からネクタイ・ピンを想うのは、やはり詩人の感性なのでしょう。
そういえば、ネクタイ・ピンもまた、復活してもらいたい装身具のひとつですね。ネクタイ・ピンは、純粋にネクタイを飾る、小道具。
長さは、10センチ前後。単なる長いピン。これをネクタイの結び目のすぐ下に挿して飾る。もちろんピンの「ヘッド」には、なんらかの装飾が施されています。
ヘッドが猫の顔になっているネクタイ・ピン。ほしいですね。