デザートは、食事時の愉しみのひとつですよね。美事な夕食を満喫して、最後にひと口の甘いもの。完璧であります。
デザートには、なにを選ぶのか。これはもう、人それぞれの好みでありましょう。たとえば、クレエム・ブリュレだとか。
「デザート」 dessert は多くアメリカで用いられる言葉なんだとか。
1971年9月のはじめに。ケイティ・ステュワートというアメリカ人女性が、ロンドンの新聞、『ザ・タイムズ』に、新しいデザートを紹介。
この記事が発端で、『ザ・タイムズ』紙上で「デザート論争」が一週間続いたという。
たとえば英国サフォーク州の、ジョン・ラッセルという読者は。「イギリスでは、デザートのことを「スイート」と呼ぶのだ……………」と。
しかしこの説にもさらに反論が寄せられて。ロンドンの、ロビン・マクデューガルは。
「ジョン・ラッセル氏以外のイギリス人はデザートのことを、「プディング」と呼ぶことになっている…………」。
さらにさらに、投書は続いて。グロセスター州の、R・B・ラスボウンは。
「そもそもデザートという紛らわしい言葉を英国から追放するべきである……………」。
まあ、この一週間、イギリスの『ザ・タイムズ』の読者は、さぞかし「デザート論争」で愉しめたことでありましょう。
アメリカでタキシードtaxedo と呼ぶ服を、イギリスでは「ディナー・ジャケット」となるのは、ご存じの通り。「夕食服」というわけです。「ディナー・ジャケット」が出てくるミステリに、『運命のチェスボード』があります。1960年に、ルース・レンデルが発表した。
「ショーということばを聞いて、踊り子やディナー・ジャケットを着たコメディアンを思いうかべたのだった。」
著者、ルース・レンデルは1930年にロンドンに生まれています。生粋のイギリス人。だから、「ディナー・ジャケット」なのでしょう。
盛夏には、純白のディナー・ジャケットを着ることもあります。食後の「プディング」がよりいっそう美味しく感じられるに違いありませんね。