ビノキュラーとピケ

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ビノキュラーは、双眼鏡のことですよね。双眼鏡の前には、テレスコープがあった。望遠鏡です。望遠鏡はふつう単眼鏡で、それがふたつのレンズになっているから、双眼鏡。つまりはビノキュラー binocular 。
望遠鏡であるのか双眼鏡であるのかはさておき、ここから想うひとりの人物がいます。それは、リーヴァイ・ストラウス。もちろん、ブルー・ジーンズの生みの親。でも、ジーンズの話をしようというわけではありません。それよりもう少し前のこと。
1853年頃のサンフランシスコでの話。1853年のサンフランシスコは、言うまでもなく、ゴールド・ラッシュの時代。
ニューヨークからサンフランシスコに着いたリーヴァイ・ストラウスは、小さな雑貨店を開く。もちろん相手にするのは、黄金夢を見るフォーティーナイナーであります。当時のサンフランシスコは急造の町で、まだ町になる以前の姿であったのです。
その時代のサンフランシスコの物価は不安定でした。東海岸からの輸送船が入って来ると値が下がり、当分船が入ってこないとなると、急騰。でも、ひとりリーヴァイ・ストラウスだけは、入船の情報が速かった。そのために値段のつけ方が絶妙だったのです。
リーヴァイ・ストラウスは密かにひとりの少年に望遠鏡を持たせた。で、小高い山に登らせて、どの船が、いつサンフランシスコに入って来るかを、知ることができたのです。リーヴァイ・ストラウスには、先見の明があったのでしょうね。
双眼鏡が出てくるミステリに、『選ばれた者』があります。1966『ニューヨーカー』6月4日号に発表された物語。著者は、リース・デイヴィス。

「オードリー・ヴァインズは双眼鏡をつづれ織りの袋にしまい……………」。

また『選ばれた者』にはこんな描写も出てきます。

「新しい木綿のズボンをはき、しゃれたジャンパーを羽織る。」

ここでは「木綿のズボン」とあるだけで、それ以上の説明はありません。そこで想像をふくらませてみると。白いピケのズボンではなかったか。余談ですが、著者のリース・デイヴィスは、1903年、ウエールズの生まれ。
それはともかく、一度、白ピケでトラウザーズを作ってみたいものです。はるか遠くから双眼鏡でのぞいても、畝がはっきり分かるくらいの白ピケ地で。

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