蕗谷虹児とプリンス・オブ・ウエールズ・チェック

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蕗谷虹児は、画家ですよね。懐かしくも可愛い少女を多く描いた絵師であります。絵師なんすが、その一方で歌も作っています。誰もが一度は口ずさんだことのある、『花嫁御寮』。

♬ 金らんどんすの帯しめながら
花嫁御寮はなぜ泣くのだろう

これは、蕗谷虹児の作詞です。蕗谷虹児がお好きだったものに、薔薇があります。蕗谷虹児はある時、薔薇の花びらをたくさん集めて、それを詰めた枕を作ったという。菊枕ならぬ、薔薇枕だったわけですね。
薔薇といえば、「ピース」。平和への祈りが込められた品種なので、「ピース」。大輪の、黄色い薔薇。黄色でもあり、黄金でもあり、ピンクでもあります。複雑この上ない、大きな薔薇であります。「世界一の薔薇」と称されるゆえんでしょう。
この「ピース」を創ったのが、フランシス・メイアン。フランシスの園芸家であります。1935年に、フランシス・メイアンはアメリカに。アメリカのニューヨークで、最新式の自動車を買う。この自動車に乗って、世界を旅する。あらゆる薔薇を研究するために。その後、フランスに戻って、薔薇の改良を。その十二年後に完成したのが、「ピース」だったのです。
フランシス・メイアンは生まれたばかりの「ピース」を、ウインザー公にお見せしたことがあります。ウインザー公は、言った。
「私はこれまでにこんな薔薇を見たことがない。 世界一、華麗な薔薇である。」
ウインザー公もむかし薔薇ではなく、柄を創ったことがあります。ウインザー公が皇太子の時だったので、「プリンス・オブ・ウエールズ・チェック」。それはグレン・アーカート柄に、ブルーの越格子をあしらったもの。
もっともエドワード七世が皇太子の時にも、「プリンス・オブ・ウエールズ・チェック」を。それはグレン・アーカート柄にピンクのオーヴァー・プレイドを配した柄だったのですが。
さて、プリンス・オブ・ウエールズ・チェックの上着で、薔薇園に出かけるといたしましょうか。

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