揚羽蝶とアイリッシュ・リネン

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揚羽蝶は、美しい姿をしていますよね。揚羽蝶にはなんでも600種もの種別があるんだそうですが。
そのうちのわりあいと多く見られるものに、黒揚羽、並揚羽、青筋揚羽、黄揚羽などがあります。揚羽蝶に限らず、世の中に蒐集家はいるもので、世界中の珍蝶を蒐めている人もいるようですね。
一羽一羽、丁寧に形を整えて、ピンでコルク板に留めておく。だから「虫ピン」の言葉があるのでしょうか。
井上 靖が、昭和二十七年に発表した小説に、『あげは蝶』があります。

「むかし台北の家でるみ子に見せて貰ったピンで留められた揚羽蝶の姿態が浮かび上がって来た。それはどこかるみ子という女に似ているように思われた。」

この「星島るみ子」の趣味が、蝶のコレクションなのですね。蝶の姿に女を想う。男にはよくあることなのでしょう。
揚羽蝶ではなくて、タテハ蝶が出てくるミステリに、『死はつぐないを求める』があります。1973年に、ジョセフ・ハンセンが発表した物語。

「二匹の蝶が鬼ごっこを演じている。黄色い縁取りの黒い羽をした蝶だ。タテハ蝶。」

タテハ蝶は、俗に「モーンング・クローク」と呼ばれることがあるんだそうですが。『死はつぐないを求める』のなかには、こんな描写も出てきます。

「高価なシャンタンのスーツとロール・カラーの手縫いのアイリッシュ・リネンのシャツを身につけ………………」。

これは、アーヴィング・ブラウという人物の着こなし。
「手縫い」はさておくとして。アイリッシュ・リネンのシャツ、着てみたいものですね。もちろん揚羽蝶には、及びもつきませんが。

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