むかしの英國に、ランプリエールというお方がいたんだそうですね。ジョン・ランプリエール。Lemriere はなんだかフランス名前みたいでもありますが。ジョン・ランプリエールは、1765年頃、ジャージー島に生まれていますから、フランス名前も不思議ではないでしょう。
今、地図を開いてジャージーを探してみると。その位置はイギリスよりもはるかにフランスに近い。夏ならフランスから、泳いでも渡れそうな所にジャージー島があります。
ジョン・ランプリエール。ごくふつうの人名辞典を繙いてみても、出ていません。イギリスでもジョン・ランプリエールは、半ば忘れられた存在なのでしょうか。
ジョン・ランプリエールは、1788年に『ランプリエール・ディクショナリー』を出しています。これは古今東西の固有名詞の解説した独特の辞典であります。一種の奇書とも言えるでしょう。
ジョン・ランプリエールは1790年に、オックスフォード大学を卒業。ということは、大学卒業前の、二十代で、この奇書を出版したことになります。とにかくランプリエールは少年の頃から本を読みすぎて、眼を悪くしたくらいの読書家、博覧強記。
ジョン・ランプリエールを知ったのは、『ジョン・ランプリエールの辞書』を読んだからなのです。『ジヨン・ランプリエールの辞書」は、1991年に、ローレンス・ノーフォークが発表した小説。小説なんですが、なんとなく伝記風にもなっています。
著者、ローレンス・ノーフォークは偶然に『ランプリエール・ディクショナリー』を識り、そこからランプリエールの研究をはじめたんだとか。
では、ジヨン・ランプリエールはどんな服装であったのか。もちろん小説でもあるのですが。
「薄紅のストライプ模様の上着、その裏地は緋色の絹仕立て……………」。
ここから推理するかぎり、ジヨン・ランプリエールの上着は、シルク・ライニングだったものと思われます。
いいですね、絹の裏地。憧れますね。絹のライニングの上着を羽織って、『rt・ディクショナリー』を探しに行くとしましょうか。