フィラデルフィアは、アメリカ、ペンシルヴァニア州の都市ですよね。ペンシルヴァニア大学をはじめ、多く大学があって、学園都市でもあるんだとか。
フィラデルフィア生まれの洒落者に、リチャード・デイヴィスがいます。リチャード・ハーディング・デイヴィス。とにかく若い頃のデイヴィスは、ギヴソンのモデルだったそうですから、どこから眺めても、美しい男性だったようです。
ギヴソンは、かの有名なチャールズ・ダナ・ギヴソン。「ギヴソン・ガール」の絵を多く描いた張本人であります。ギヴソンが「ギヴソン・ガール」を描くときの、相手役の理想的な男が、リチャード・デイヴィスだったのですね。
「完璧な仕立てのイギリス風スーツにキッドの手袋、さらにステッキを手にした上流階級のいでたちで登校したので……………」。
これは大学生時代のデイヴィスの様子。ジョイス・ミルトン著『イエロー・キッズ』には、そのように出ています。
とにかく自分のことを呼ばせるのに、「ダイヴィス」と英國式にしたんだそうですから、念が入っています。
そんなわけで「ダイヴィス」は大いにモテたのでありますが、深く関係になることは一度もなかったらしい。大人になったデイヴィスが選んだ職業が、新聞記者。それもハースト系の新聞記者になったのです。
では、ランドルフ・ハースト自身は、どんな恰好だったのか。これについても、『イエロー・キッズ』には、次のように書いています。
「格子柄のフランネルのスーツで職場に現われるハースト自身が、きわめて目立つ存在だったのだ。」
二十世紀はじめのハーストは、どうもフランネル・スーツを着ていたみたいですね。フランネル・スーツは今も昔も、基本的な一着と言って良いでしょうね。