洗濯と背広

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洗濯は、服などを洗ってきれいにすることですよね。今は電気洗濯機がありますから、ボタンを押すだけ。簡単便利であります。
むかしは、水と石鹸とを使って、手で洗った。ひと苦労だったと思います。
おとぎ話の『桃太郎』は、お婆さんが川に洗濯に行くところから、物語がはじまります。洗濯を川でする歴史もさぞかし古いものかと思われます。
川は次から次と新しい水が流れてくるのですから、ほとんど理想の洗濯場でもあったのでしょう。もっとも古代には灰や灰汁などの天然自然の素材を使ったでもしょうから、川や海を汚すこともなかったはずでもすね。
近世に入ると、盥を使うように。盥は、大きな、平たく桶のこと。この盥の中で洗ったので、洗濯盥。洗濯盥には、洗濯板を差し渡して、その上でごしごしと、洗った。
1820年に、ご主人のシャツを洗っていた主婦が、カンシャクを。「もう、やってられないわ!」で、その主婦はシャツから襟を外して、襟だけ洗うように。ディタッチト・カラーの誕生であります。その主婦の名前、オーランド・モンタギュウと、伝えられています。
洗濯盥の出てくる小説に、『洗濯盥』があります。サマセット・モオムが、1920年代に発表された短篇。

「しかし、洗濯盥のほうはどうなんですか?」

これは、バーナビーという人物のこと。バーナビーの奥方が話を面白くするため、ご主人のことを、「むかしは洗濯盥を担いでいたのよ……………」と言いふらしたので。

では、バーナビーはなにを着ているのか。

「粋といってもいいくらいのクリーム色を帯びた絹の背広を着ていたが……………」。

「絹の背広」、いいですねえ。
でも、クリーム色の絹の背広は、クリーニング店に出すべきでしょうが。

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