友とトレンチ・コート

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友は、ありがたいものですよね。友と友は、友情で結ばれています。友情の展開的な例は、メロスでしょうか。メロスはもともと、古代ギリシアの伝説。この古代ギリシアの伝説をもとに小説を書いたのが、太宰 治。もちろん、『走れメロス』であります。『走れメロス』は何度読んでも、涙が湧いてくる物語です。
『走れメロス』は、メロスとその親友、セリヌンティウスとの友情物語。メロスはある日、十六歳の妹が結婚するので、そのための買物に、シラクスの町へ。
ところがメロスは捕らえられて、数日後に処刑されることに。でも、せめて妹の結婚式だけを挙げさせたい、と。そのために結婚式の終わるまで、セリヌンティウスに身代わりを。
無事、結婚式を終えて、ふたたびセリヌンティウスのもとに急ぎ、戻る。でも、いろんな苦難がメロスを待ちかまえていて。メロスは疲労困憊、地に倒れる。一瞬、「このまま逃げようか」とも。その時、岩からの清水が落ちてきて。ふと我にかえる。そこから走りに走って。心臓の限界まで走って、セリヌンティウスの処刑寸前に間に合う。
その時、メロスはセリヌンティウスに、「一度だけ逃げようと思った」と告げる。と、セリヌンティウスも。「一度だけ君を疑った」と。
まあ、これほどではありませんが、ジョセフ・ヘラーと、スピード・ヴォーゲルも親友。ふたりで共著の『笑いごとじゃない』を出しているくらいですから。
『笑いごとじゃない』の中に、親友四人で、ニュウヨークの中華街に行く話が。美味いロブスターを食べに。ロブスターが出てくるたびに、「ちょっと、違うんだなあ」と呟いて。結局、その日の、中華街のロブスター全部を食べたんだとか。これも友情のなせる技なんでしょうか。
また、『笑いごとじゃない』には、こんな場面も。

「スピードはウールの裏の付いたトレンチコートをパリッと着こなしていた。私が二週間前にブルックス・ブラザーズで買って、まだ一回しか着てないやつだ。」

ヘラーは入院中なので、ヴォーゲルがちゃっかり着てやっているわけですね。
まあ、それにしても。ブルックス・ブラザーズの、ウール・ライニングのトレンチ・コート。いいなあ。誰か譲ってくれる友がいないものでしょうかねえ。

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