アンドリューズと麻ズボン

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アンドリューズで、女優でといえば、ジュリー・アンドリューズでしょうね。『サウンド・オブ・ミュージック』は、たぶん覚えていらっしゃるに違いありません。

♬ ドはドーナツのド………………。

なんて、いまもときどき口遊んだりすることも、おありでしょう。ジュリー・アンドリューズは、歌えて、演技のお上手な、珍しい女優でありました。
だからこそ、劇場版『マイ・フェア・レディー』もイライザ役にも、抜擢されたのですが。その映画版が、ヘップバーンだったのは、ご存じの通り。
ミステリのほうでのアンドリューズなら、ドナ・アンドリューズがいます。アメリカのミステリ作家、ドナ・アンドリューズ。ドナ・アンドリューズが、2002年に発表したのが、『恋するA・I 探偵』。この中に。

「きょうは黄金の古典て気分だな、チュー。『赤い収穫』を呼び出してくれないか」

いくら時代が変わっても、『赤い収穫』は「古典」なんですね。『赤い収穫』は、もちろんダシール・ハメットの傑作。1929年の発表ですから、もはや古典よ言った良いでしょう。

「パースンヴィル のことをポイズンヴィルと呼ぶのをはじめて聞いたのは、モンタナ州の鉱山町ビュートの酒場『ビッグ・シップ』で、言ったのはヒッキー・デューイという選鉱夫だった。。

ハメットの『赤い収穫』は、この第一行から幕が開くんでしたね。そしてハメットが、名作『マルタの鷹』を世に問うのが、1930年のことであります。
えーと、たしかアンドリューズの話でしたよね。アンドリューズが出てくる小説に、『亡き大佐の娘たち』が。キャサリン・マンスフィールドの短篇。

「看護師アンドルーズは、バターのことではまったく手に負えなかった。」。

ここでの訳は、「アンドルーズ」。でも、読み方によっては、アンドリューズでもあるのでしょうが。
『亡き大佐の娘たち』には、こんな描写も出てきます。

「二人は黙って、白いリンネルのパンツを吐いた黒い男が、手に大きな褐色の小包を持って、必死になって青白い野原を走っていく姿を見ていた。」

リネン、亜麻は、むかし「リンネル」の名前だったようですね。
「リンネル」と呼びたいような麻ズボンを穿いて、私のアンドリューズを探しに行きたいものですが。

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