クリプタレナとクローゼット

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Email this to someone

クリプタレナという言葉があるんだそうですね。言葉というよりも、花の名前。蘭の一種なんだとか。
蘭のお好きなお方に、福原義春がいらっしゃいます。日本の蘭における第一人者といって、過言ではないでしょう。福原義春のお話によりますと。
「蘭は人の言葉が分る」とか。
福原義春著『100の蘭』に出ている話なのですが。
日本語には、「解語の花」という言い方があります。人言葉が解る花。それほどお美しい女の人。それを少し遠回しに申しますと、「解語の花」。
解語の花、これがほんとうに、蘭は言葉が解る。毎日、毎日、「良い子の育ちなさいね」と蘭に語りかけていると、美事な蘭に。
人の言葉が理解できるなら、音楽を聴く耳をも持っているのでしょう。蘭とヴァンを一緒にして良いのかどうか。ワインもまた音楽を理解するという説があります。
古い樽の中で眠っているワインに、モオツアルトを聴かせると、さらに複雑微妙の味わいになるんだそうですね。もちろんモオツアルトは一例で、ワインのほうにも好みがあるでしょうから。
もう一度、蘭の話に戻りましょう。ニューヨークで蘭といいますと、ネロネロ・ウルフ。とにかく自体の屋上に、植物園があって。蘭、蘭、蘭。その数ざっと、一万株。蘭を丹精するために、蘭の専門家、シオドア・ホルストマンを雇っている。
余談ですが、もうひとつの趣味が、美食。美食のためには、名人の、フリッツ・ブレンナーを、私設料理長に。
ネロ・ウルフはもちろん、レックス・スタウトが生んだ、架空の名探偵。
1951年には、『編集者を殺せ』を発表しています。この中に。

「そして、クローゼットの中を歩いてみて、どこに立ったら床をきしませずにすむかを調べた。」

これはネロ・ウルフの助手、アーチー・グッドウィンの行動。
私のクローゼットは、歩けません。立つこともできません。あまりに小さく、あまりに狭い。隅に蘭の鉢が置けるほどのクローゼットは、夢物語であります。

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Email this to someone