ポマールとホンブルグ

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ポマールは、ブルゴーニュのワインですよね。ポマールはボオヌにも近くて、古代からワインが造られている地区なんだとか。多く、ピノ・ノワールで醸造されるワイン。
ポマールがお好きなだったお方に、ロアルド・ダールがいます。「お好きだった」と、勝手に決めつけて良いかどうかは、さておき。ロアルド・ダール著『オズワルド叔父さん』には。

「まず、モンラッシェ、そしてムルソー、ポマール。」

そんなふうに書いています。これは少年の頃、父に誘われて、九月のブルゴーニュへ。そのホテルでの夕食時の、お供として。その翌日は、どうしたのか。

「コールド・チキン、フランス・パン、かたいチーズ、そしてロマネ・コンティ一壜。」

これは戸外での、ランチ。ロマネ・コンティの低い塀に腰かけて。親子二人で。ロマネ・コンティの粋な飲み方にもいろいろあるでしょうが。この「ダール式」の飲み方にも、憧れますよね。気取りがなくて、たいへんよろしいのではないか、と。
ポマールが出てくるミステリに、『暗号名 スイス・アカウント』があります。ポール・アードマンが、1991年に発表した物語。もっとも小説の時代背景は、1940年代に置かれているのですが。

「白ワイン、ヨハニスベルガーの一九四〇年もの一本、赤ワイン、ポマールの一九三七年もの三本、それにリキュールが十一杯だった。」

そして食後には、シャンパンを四本。モエ・エ・シャンドン・ブリュットの、一九三八年ものを。これを、六人で開けています。けっこう、お飲みになっていますねえ。また、『暗号名 スイス・アカウント』には、こんな描写も出てきます。

「黒っぽいスーツ姿で、おまけにホンブルグの一種のフェルト帽をかぶっていた。」

これは若きの、アレン・ダレスの着こなし。
さて、ホンブルグを頭に戴いて、ポマールを飲みに行くとしましょうか。

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