ゲマインデとゲートル

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ゲマインデは、共同体のことなんだそうですね。g em e ind e と書いて、「ゲマインデ」。私は、犬養道子著『私のスイス』を読んで、教えられたことなのですが。
共同体は共同体なのですが、スイスでの「ゲマインデ」には、もっと深い意味があるんだそうです。やや大げさに申しますと、スイスという国の骨格を成しているのは、「ゲマインデ」である、と。
たとえば、日本人女性が、生粋のスイス人と結婚したとしましょう。と、その段階で、大和撫子は、スイスの「ゲマインデ」に自動的に組み入れられるんだそうです。これは後に離婚したとしても、大和撫子は「ゲマインデ」の所属でありことに変わりはない。仮に一度日本に帰ってから、スイスに戻ると一生「ゲマインデ」の保護におかれる。
共同体という言葉を超えて、「ゲマインデ」には強い連帯感が含まれているようです。
連帯感と言ってよいのかどうか、「474747」。これはスイスの電話であり、ある団体の名前でもあります。なにの団体なのか。「スイス救援航空隊本部」のこと。
年間、20フランを払うと「スイス救援航空隊本部」の会員になれる。「474747」の会員になると、万一、山で遭難したような時、電話をかけると、最大20分以内に「スイス救援航空隊本部」からのヘリコプターが来る。ヘリコプターには医者と医療品とが積まれている。
数多くのヘリコプターとは別に、二機の救援ジェット機があって。このジェット機には、手術室の用意があるという。犬養道子は「474747」のあることを知って、すぐに会員になったそうです。また、その手続きがいとも簡単で、街の薬局に行って申し出れば、会員になることが。
まあ、そんな例を挙げながら、犬養道子はスイスがいかに特異な国であるかを、熱く語っています。
そしてまた、時代を遡れば、傭兵の国であったことも。ひとつの例として、ルイ十二世からルイ十四世の時代には、スイス人は多くフランス軍の傭兵となった、と。
フランスはスイスの傭兵に対して、月に十ポンドの銀を支払ったとのこと。これが戦時になると、銀十五ポンドに上がったという。
軍服もすべて支給で、その中には二足の靴下と三枚のゲートルとが含まれていたそうですね。
靴下よりゲートルのほうが大切だったのでしょうか。

「服地の色は褪せて、ゲートルの代りには黄な羅紗を畳んでぐるぐると脛に巻き付けて居る。」

夏目漱石が明治三十九年に発表した「趣味の遺伝』にも、そのように出ています。「ゲートル」は、フランス語の、「脚絆」。英語なら、「ゲイターズ」 g a it ers でしょうか。
いつの日にか、ゲートルが流行になることでしょうね。

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