チャーチルは、もちろんウインストン・チャーチルのことですよね。
今、広く用いられる「Vサイン」は、チャーチルが流行らせたと、考えられているようです。「Vサイン」がどのようにしてはじまったのかは、さておき。1941年頃、第二次大戦中、ヨーロッパ戦線に対して、「ヴィクトリー」の頭文字として、指二本で表現した。このチャーチルの姿が新聞に掲載されたので、以降、流行になったとされています。
チャーチルは「Vサイン」だけどなく、多くの流行語をも生んでいます。たとえば、「鉄のカーテン」。もちろん当時の共産圏の秘密主義を揶揄した表現だったのですが。
1946年3月。チャーチルはアメリカ訪問。この時、「ウエストミンスター大学」で講演。この時の演説の中に、「鉄のカーテン」が含まれていたのですね。
1933年に、チャーチルは倫敦で偶然にチャップリンに会ったことがあります。倫敦の「サヴォイ・ホテル」で食事中に、チャーチルが入って来て。
「ウーナが出て行ってしまってから、わたしは、お邪魔でなければ、コーヒーをご一緒にいただきたいがと言い、彼らのテーブルへ移って行った。」
チャップリン著『チャップリン自伝』に、そのように出ています。
そこでのコーヒーの時間に、チャーチルはチャップリンに言った。
「君は、なぜ、私に手紙をくれなかったのだ。」
1931年に。チャーチルはチャップリンから『ライム・ライト』の映画を借りて、屋敷で鑑賞したことがあって。
「実に、面白いかった!」
という内容の手紙をチャップリンに宛てて、書いた。チャップリンは、そのチャーチルの礼状に返事を書かなかった、と。
「お返事の必要はないト、思いましたので………………」。
これで、チャーチルのご機嫌は、少し良くなったらしい。
でも、二年前の手紙を、よく憶えていたものですね。
この時のチャーチルも、たぶん、チョーク・ストライプのスーツだったのではないでしょうか。
チョーク・ストライプは、洋服屋のチャコから生まれたものです。古典柄の中でも、特に古いもの。
チャコは、「テイラーズ・チョーク」。生地に線を引くための白墨。テイラーの、線の、苦心の跡から生まれた柄とも言えるでしょう。