フェアリイとブレイザー

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フェアリイは、妖精のことですよね。お伽話のことを「フェアリイ・テイル」というではありませんか。
フェアリイにも、いろんな種類があるんだそうですね。たとえば、「ピクシイ」だとか、「エルフ」だとか。
あるいは、「アリエル」。これは空気の精なんだそうです。

「幼い子らは、まだ見たことのない父母の郷國が、お伽話の妖精國のように、不思議な幻想に満たされているように思われるらしい。」

寺田寅彦が、大正九年に書いた随筆『小さな出来事』には、そのように出ています。
お父さんやお母さんの故郷。たしかに小さい子どもからすれば、「不思議な幻想」に満ちているのかも知れませんね。
それを「妖精國」と、形容する寺田寅彦は尊敬に値します。
妖精が出てくる擬曲に、『ウィンザーの陽気な女房たち』があるのは、ご存知の通りです。

シェイクスピアが、1602年頃に発表した演劇。

黒、白、緑の妖精たち、
月夜に浮かれる子供たち、
変わらぬ運命の孤児たち、
みんな仕事にかかりなさい、
パックの言いつけをよく聞いて。

これは妖精の女王、「クイックリー」の科白。そうそう、「パック」も妖精のひとりですよね。
妖精は、緑のマントに、赤いとんがり帽子をかぶっていると、信じられています。
絹のボタンのついたズボンを穿いて、銀の靴。この妖精の「絹ボタン」のことを、「ボブ」
b o b と呼ぶんだそうですが。
妖精が出てくる小説に、『青白い炎』があります。1962年に、ナボコフが発表した物語。
ナボコフの『青白い炎』は、たしかに小説ではあるのですが。とても風変わりな構成になっています。いわゆる「奇妙な味わいの小説」に加えて欲しいほどに。

「…………妖精物語的なスポーツ・クラブのプールに飛び込む、しなやか身体つきの若者たちを……………………。」

これは長篇詩であって。その後に、詩の註として物語がはじまるという組み立てになっているのですね。
その「註」の中に。

「彼の黒のブレザーと白のズボンは彼の以前の従者の従者によって持ち去られていた。」

「彼」とは王様のこと。それで仕方なく王様は、パジャマを着ているのですが。とにかく不思議な小説です。
それはともかくナボコフによれば、王様には黒のブレイザー がふさわしいのでしょうか。白いズボンに合わせるための。
どなたか王様が着るような黒のブレイザー を仕立てて頂けませんでしょうか。

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