ブルゴーニュは、バーガンディーのことですよね。フランスでは、ブルゴーニュ、イギリスでは、バーガンディー。
「バーガンディー」は色の名前でもあります。赤葡萄色。一般に、ボルドオは男性的な魅力のワイン。一方、ブルゴーニュは女性的な魅力のワインだとされるようですね。
ブルゴーニュのワインがお好きだったのが、ナポレオン・ボナパルト。戦の度に、ブルゴーニュの大樽を馬車で運ばせたという。
ブルゴーニュ一帯の中心地が、ディジョン。ディジョンの名産が、マスタード。肉にディジョンのマスタードを添えて、ブルゴーニュのワインを。まったくよくできているものですね。
ワインの中心地に、コート・ドールがあります。直訳すれば、「黄金の屋根」。実際に行ってみれば分かることですが。高台の南斜面。いやでも太陽に恵まれている地形であります。たっぷりの陽光に加えて、水はけの良さ。陽光、そして水はけ。この二つは佳い葡萄造りに欠かせないものなんだそうです。
ブルゴーニュへの旅人が必ず訪れるのが、「オスピス・ド・ボオヌ」。どこか異国情緒を感じさせる、モザイク模様の屋根瓦が特徴的な建物。ここで、毎年のブルゴーニュ・ワインのオークションが行われます。
「オスピス・ド・ボオヌ」は、その名前から窺われるように、中世からの病院。しかも、無料で患者を受けいれた病院。そのすべての費用は、ブルゴーニュ・ワインの利益の一部で賄われたのであります。往時のブルゴーニュ・ワインの隆盛ぶりを忍ばせるものです。
ブルゴーニュが出てくる小説に、『従妹ベット』があります。1846年に、フランスの、オノレ・ド・バルザックが書いた長篇。
「馬車は、この通りのベルシャス街とブルゴーニュ街とにはさまれた部分の、庭つきの古い邸宅の中庭の一画に最近建てられたばかりらしい、さる大きな家の戸口にとまった。」
問題の、導入部分なのですが。また、『従妹ベット』には、こんな描写も出てきます。
「金むくのボタンのついた紺の上着と、黒のズボンを見事に着こなし、一点のくもりもないエナメル塗りのしゃれた長靴をはき………………………」。
これは、アンリ・モンテス・デ・モンテジャノス男爵の装い。
たしかに、「金むくのボタン」とあります。純金の、24金の、ボタンがずらり並んでいるのでしょう。
ボタンは、英語。フランス語なら「ブトン」b o ut on でしょうね。
純金のボタン。ただ、夢に見るだけのことですが。
せめて、ブルゴーニュ・ワインを飲んで、佳き夢を見ることにいたしましょう。