カラヴァッジョとカシミア

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カラヴァッジョは、イタリア、バロック期の絵師ですよね。まだ写真機が発明されるはるか前、写真以上に写実的な絵を描いたことで知られる画家。
カラヴァッジョは、1571年9月28日に生まれ、1610年7月17日に世を去ったと、信じられています。ほぼ四十年ほどの、波瀾万丈の人生だったようです。
カラヴァッジョは多くの名画を遺しています。が、その多くは人物画で、今にも動きそうなほど、真に迫っているのです。もし、当時のイタリア語が解れば、絵の人物の会話が聴こえてくるほどです。
カラヴァッジョは人物画を得意とした絵師ですが、ことに少年、若者を数多く描いています。
たとえば、1594年頃に描いた『トランプ詐欺師』にも、三人の若者が登場しています。この絵の右端の少年は、1590年代の優雅な帽子をかぶっています。その帽子に挿した羽根が、大きく、長いのです。
男の帽子の羽根飾りは、向かって右にあしらうことになっています。その理由は、右手で剣を扱う時、万一、羽根飾りが垂れてきても、視線の邪魔にならないためにと、説明されるのです。
カラヴァッジョの『トランプ詐欺師』をはじめとする当時の絵を眺めていると、なるほどと合点がゆくのであります。
カラヴァッジョが出てくるミステリに、『二人の妻をもつ男』があります。パトリック・クエンティンが、1955年に発表した物語。

「カラヴァギオの絵に出てくるリュート吹きの音楽師か、バッカスの酒宴でぶどう酒に上気した羊飼の少年を思わせた。」

日本語訳では、「カラヴァギオ」となっています。が、おそらくは、カラヴァッジョのことでしょう。
これは物語の主人公、ビル・ハーディングが、突然に、出会った青年の様子。
また、『二人の妻をもつ男』には、こんな描写も出てきます。

「カシミア製の純毛靴下は靴の上に垂れさがっているが…………………。」

これは、ポール・ファウラーというビルの友人の着こなし。
たぶん、靴下留めを使っていないのでしょう。
もし、カシミアの靴下なら、ガーターを使っべきでしょうね。
ひとつの夢物語として。カシミアのソックスで、美術館にカラヴァッジョの絵を観に行きたいものですね。

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