スパイとスモーク・グレイ

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スパイは、間諜のことですよね。間諜より、もっと古いのが、「間者」でしょうか。
間者といいましても、病ある者ではなくて。人と人との間を巡って、報せを集める者のことなのでしょうか。
間諜でひとつ想い出すことがあります。私の友人に、フランス人の某がいるのですが。
某は、若い頃、中国に住んだことが。でも、「某は、フランスから来たスパイだ」との根も葉もない噂が飛び交って。誰も相手にしてくれない。
そこで、某は一計を案じて。家の戸口の前に、漢字で、「間諜・某」と書いて、貼っておいた。と、すっかり誤解が解けて、皆と仲良くなったという。
自分でわざわざ「間諜」を名乗る間諜はいないということだったのでしょうね。それにしても、「間諜」は中国でも通じるのに、違いありません。
間諜とつく映画に、『間諜 X 27』があります。1931年のアメリカ映画。かのマルレエネ・ディートリッヒが、間諜マリイに。このマリイの暗号が、「X 27」という設定。
こんな美貌の間諜なら少しくらい……………………。
英国のミステリ作家、ミック・ヘロンが、2010年に発表した物語に、『窓際のスパイ』が。原題は、『スロウ・ホウシーズ』。スパイにも「窓際」あるんでしょうね。
「窓際」、「窓際族」。この言い回しは、昭和五十七年にはじまっているんだそうですが。

「その中でOLたちがからかうのが“ 窓際のおじさん ”。」

昭和五十七年『北海道新聞』六月十一日付の記事に、そのように出ています。たぶん「窓際」の比較的はやい例でしょうね。
ミック・ヘロンが、2016年に書いたスパイ物が、『放たれた虎』。この中に。

「痩せ型で、朝もやのようなグレーのスーツを着ている。黄色いネクタイはどこかのクラブのものかもしれない。」

スパイが呼び出されて、歩道橋へ。その歩道橋に立っている謎の男の着こなし。
「黄色いネクタイはどこかの………………………」。
これはいかにもイギリス的な表現で。要するに、お家柄のおよろしい男の、意味なのですね。
グレイ は、gr ey。アメリカでは、gr ay。これもなんだか暗号に使えそうで。
「朝もやのようなグレー」。私の勝手な想像ですが。「スモーク・グレイ」ではないでしょうか。
スモーク・グレイのスーツを着たところで、スパイにはなれそうもありませんがね。

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