ブラッディ・メアリイとフランネル

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ブラッディ・メアリイは、カクテルのひとつですよね。アメリカ人のお好きなカクテルでもあります。
ウオトカをトマト・ジュースで割ると、ブラッディ・メアリイ。でも、処方によって星の数ほどの種類があるようですが。
ニュウヨーカーは、ランチの食前に、ブラッディ・メアリイを添えるのは粋なことなんだそうですね。
トマト・ジュースは、赤い。これをしゃれて「ブラッディ」と称したのでしょう。では、なぜ「メアリイ」なのか。これはよく知られているように、スコットランドの女王だった、メアリイ・スチュワートに因んでいます。
メアリイ・スチュワートは、1542年12月8日。ウエストロージアンの、リンリスゴー宮殿に生まれています。お父さんはスコットランド人、お母さんはフランス人という環境に生まれています。一時期は、フランスの女王にも。
後にスコットランドに移って、女王に。ゴルフで「キャディー」と言います。あの「キャディー」は、メアリイ・スチュワートに因んでいます。フランスから「カデ」 c ad et ( 士官 ) を連れ帰り、それにゴルフのお供をさせたので。
メアリイ・スチュワートは決して悪い女王ではありませんでした。が、時の巡り合わせが悪かった。今の時代なら、ミステリ小説十冊分くらいの、血なまぐさい事件に巻き込まれています。
さて、カクテルの話に戻りましょう。1920年代のアメリカに、「ブラッディ・サム」というのがあって。禁酒法の時代、トマト・ジュースにジンを入れて飲んだ。これなら「トマト・ジュース!」ということもできたからでしょう。
やがて禁酒法の時代も終って。第二次大戦も終って。「そういえば昔、ブラッディ・サムというのがあったなあ」という郷愁から、「ブラッディ・メアリイ」が。ジンをウオトカに変えて。1956年頃のことです。
ところで、「ブラッディ・シェイム」の表現があるんだとか。1996年に、ジェイン・スタントン・ヒッチコックが発表した『目は嘘をつく』に、出てきます。

「あるいはイギリス人がブラッディメ・シェイムと呼んでるやつ」

これは、アメリカ人画家の、フェイス・クロウェルの科白。ブラッディ・シェイムは、英国で「赤っ恥」の意味になるんだとか。
また、『目は嘘をつく』には、こんな描写も出てきます。

「ブルー・ジーンズに胸の中ほどまでボタンを開けた赤いフラノのシャツを着た今でさえ、修道士さながらだ。」

これは、ジョン・ノーランドという作家の着こなし。たぶん、フランネルのシャツを着ているのでしょうね。
フランネルのシャツで、ブラッディ・メアリイを。もちろん不可能ではありません。でも、「ブラッディ・シェイム」にはならないように気をつけましょう。

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