仮装と革コート

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仮装は、仮の装いのことですよね。ふだんの自分の着るものとは異なる服装をすることであります。
仮装とは別に、「扮装」の言葉もあって。さらには、「変装」。仮装と、扮装と、変装と。それぞれにどんな違いがあるのかを考えてみるのも、面白いのではないでしょうか。
仮装も扮装も、人に気づかれることを前提にしています。が、変装は人に気づかれないことが、条件になっているのでしょうね。

「おもひおもひの假装色を争ひ、中に雑りし常の服衣もはえある心地す。」

森 鷗外が、明治二十三年に発表した短篇『うたかたの記』には、そのように出ています。
この背景は、ベルリン。「カフェ・ロリアン」での様子として。
また、『うたかたの記』には、「カフェ・ミネルヴァ」の話も出てきます。「カフェ・ミネルヴァ」は、鷗外がベルリン留学中、足繁く通った店として識られている所です。『うたかたの記』には、何度も「カフェ・ミネルヴァ」が出てきます。
仮装が描かれる短篇に、『仮装した人びと』があるのは、ご存じでしょう。1883年頃に、ロシアの作家、チェホフが書いた物語。

「だってあなた、あたしたち仮装なのよ!」とその兵隊は女の声で言う。

これは街で上官に会って挨拶しない理由として。仮装は心境にまで及ぶということなのでしょうか。
1882年に写されたチェホフの写真が遺っています。兄のニコライと二人の写真。アントンとニコライは、二人とも、ダブル前のモーニング・コートを着ています。
このニコライの息子が、マイケル・チェホフ。後に俳優となり、演出家となった人物。
1945年のヒッチコック映画『白い恐怖』にも、博士役で出演しています。共演は、
イングリット・バーグマンと、グレゴリー・ペック。そんなこともあって、バーグマンやペックには、演技指導も行っているそうです。
マイケル・チェホフは、1955年9月30日に、世を去っています。偶然のことながら、
ジェイムズ・ディーンの死去と同じ日にちであったのですが。
アントン・チェホフがやはり1883年頃に書いた短篇に、『床屋で』があります。この中に。

「………なめし皮の半外套にフェルト靴をはいた年配の男がひとり、理髪店へ入って来る。」

そんな文章が出てきます。レザーのハーフ・コートなのでしょうか。
革コートの良いところは、風を通しにくいことでしょう。つまりは風の強い日でも保温性に優れたいるわけです。
しかも毛皮のコートに較べては、軽い。ことにキッドなどの薄いレザーは軽くて、着やすいものであります。
どなたかキッドの革コートを仕立てて頂けませんでしょうか。

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