オアシスとオックスフォード・バッグズ

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オアシスは、水飲み場のことですよね。昔むかしの旅人は、駱駝の背に揺られて、砂漠を行くなんてこともあったのでしょう。砂漠の旅で必要なのは、水。その天然の水が湧いている場所が、「オアシス」だったわけです。
故き佳き時代のダマスカスなどもオアシスのあることで、広く識られていたんだそうですね。
ダマスカスは、おしゃれ語とも関係があります。たとえば、「ダマスク」d am ask 。ダマスクは、1250年頃からの英語なんだとか。もちろん「緞子」のことです。今でも、レストランのテーブルクロスなどに多く用いられること、ご存じの通り。
ダマスクはダマスカスから運ばれてきた布地だと考えられていたので、「ダマスク」の名前が生まれたという。

「熱沙限りなきサハラを旅する隊商も時々は甘き泉湧き緑の木陰涼しきオーシスに行遭ひて……………。」

明治三十一年に、國木田獨歩が発表した『わかれ』にも、オアシスが出てきます。ただし、
國木田獨歩は、「オーシス」と書いているのですが。何度も「オーシス」と。でも、前後の文章から、「オアシス」のことかと思われるのですが。

オアシスが出てくる小説に、『亜刺比亜人エルアフイ』があります。昭和四年に、
犬養 健が書いた短篇。時代背景は、1928年に置かれたいるのですが。これは当時のマラソンランナー、「エルファイ」を描いた物語。エルファイは、アルジェリアの出身でありました。

「………更にオアシスの向ふには砂漠がだんだん高まつて四方へ拡がつてゐました。」

これはホテルから見える風景について。
犬養 健の物語を読んでおりますと、こんな描写も出てきます。

「巴里の下町の隣人たちが餞別にくれたコティの髪油である。」

これはエルファイが使っているヘア・クリイムについて。その時代の巴里では「コティ」が人気だったのでしょう。
 
オアシスが出てくるミステリに、『ナイロビの蜂』があります。2001年に、イギリスの作家、ジョン・ル・カレが発表した物語。

「車と運転手は<オアシス・ロッジ>が貸し出したものだった。」

ナイロビである事件が起きて。その車がどこのものであったかを尋ねている場面なのです。
また、ジョン・ル・カレの『ナイロビの蜂』には、こんな文章も出てきます。

「ぶかぶかのオックスフォード・ズボンに若者ふうのサスペンダー……………。」

ナイロビの高等弁務官、ポーター・コールリッジの服装として。日本語訳は、加賀山卓朗。
おそらく「オックスフォード・バッグズ」のことでしょう。
オックスフォード・バッグズは、1926年のオックスフォード大学で、突然に流行するようになった、太いズボンのこと。
これは、ニッカーボッカーズの上に重ね穿きできるスタイルだったのです。教会での日曜れいはを終えて、ゴルフ場ですぐにプレイできる工夫だったという。
どなたか完全なるオックスフォード・バッグズを仕立てて頂けませんでしょうか。

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