シネマは、今の映画のことですよね。「シネマ」 c in ém a と書いて、シネマと訓むわけです。
また、「キネマ」とも。とにかく日本では「活動写真」の時代ですからね。
今に、『キネマ旬報』という雑誌があるほどですから。大正八年の創刊なんだそうです。愛読者たちは、「キネ旬」などと呼んだりもするようですが。
🎶 シネマみましょうか お茶のみましょうか……………。
『東京行進曲』に、そんな歌詞が出てきます。昭和四年の映画『東京行進曲』の主題歌。原作は、菊池 寛。映画化は、溝口健二。
主題歌の『東京行進曲』を歌ったのは、佐藤千夜子。作詞は、西条八十。作曲は、中山晋平。
映画主題歌としての、『東京行進曲』は、当時、売れに売れたんだそうです。
「キネマみましょうか……………。」
の次のフレーズが。
🎶 いっそ小田急で逃げましょうか…………。
これに反論したのが、その時代の小田急の重役。ヴィクターレコードに、異議申し立てを。
でも、結果としては小田急の知名度が上がったので。小田急では、西条八十に優待パスを贈ったそうですね。
昭和二年頃の銀座に、映画館があった話。その名も、「シネマ銀座」。
「銀座に唯一の活動写真、シネマ銀座に入ったのは、午後一時を過ぎた頃であった。
松崎天民が、昭和二年に発表した『銀座』には、そのように出ています。その時代の銀座の「活動写真」は、シネマ銀座一軒だったことが窺えるでしょう。
松崎天民の『銀座』は、昭和初期の「銀座百科事典」みたいな本に仕上がっています。もちろん、おしゃれに関することもたくさん出ています。
よい
「……………氣品のある如何にも現代的なゼントルマンは皆なと言つてよい位ここフヂヤのお客であります。」(原文のまま)
松崎天民著『銀座』には、そのように出ています。
そも頃、銀座四丁目にあった高級洋品店の「フヂヤ」についての説明なのです。ただし店の看板には、「H ud iy a」 と書いてあったという。
帽子からネクタイまで。多くフランスからの輸入品が並んでいたそうです。ただし、0の数がひとつかふたつ多くついているような店でもあったそうですが。まあ、ジェントルマンになるのも、なかなか難しいのでしょうね。