スチュワーデスとスーツ

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スチュワーデスは、キャビン・アテンダントのことですよね。私なんぞは時にスチュワーデスなどといって、「古い!」とお叱りを受けております。
まずはじめに「スチュワード」があって、それから「スチュワーデス」になったんだそうですね。
1929年。ロンドン、パリ間の飛行機で、機内食のサーヴィスがはじまって。この時、男性のスチュワードが用意をしてくれて。
1930年からは、「スチュワーデス」も。ただし、原則として「看護役」。つまり、看護婦の資格を持つ人を待機させておいたという。が、その後、乗客から「スチュワーデス」への人気が高まってんだそうです。
「スチュワード」のもともとは客船で、客船から飛行機に移ったものでしょう。

「それじゃシチャード(司厨司)へ話して見ろよ!」

葉山嘉樹が、大正十五年に発表した『海に生くる人々』に、そのような会話が出てきます。
葉山嘉樹は、「シチャード」と書いています。が、たぶん船上のことなので、「スチュワード」のことかと思われます。
これは「波田」の友人が病気なので、ボーイ長に、コンデンス・ミルクを頼んでいる場面。それに対するボーイ長の答えとして。ということはボーイ長より、スチュワードのほうがエライのでしょうか。

「………機体の胴体の穴からスチュアデスと事務員が出て来て、その入り口の両側に立った。」

昭和三十年に、井上 靖が発表した長篇『黒い蝶』に、そのような文章が出てきます。井上 靖は、「スチュワアデス」と書いているのですが。昭和三十年は西暦の1955年のことで、今から七十年近く前のことですが。
井上 靖著『黒い蝶』を読んでおりますと、こんな一節も出てきます。

「品のいい細縞のはいっている紺のウーステッドをきちんと身につけて、胸のポケットからは、薄い同色の色ハンカチを覗かせている。」

これは「三田村」が、レストランで突然、未知の紳士から、話しかけられる場面として。

スチュワーデスが出てくる随筆集に、『容姿の時代』があります。酒井順子が、2000年に発表したものです。

「………スチュワーデスの制服などにはカッチリした男性っぽいデザインが取り入れられることもあるものです。」

また、『容姿の時代』にはこんな表現も出てきます。

「スーツ姿の男性が好き」という女性は非常に多いものです。

これをてはじめに、酒井順子は「スーツ礼讃」の言葉を並べています。

スーツのはじまりは、1860年代のこと。当時は、「ラウンジ・スーツ」と言ったものです。このラウンジ・スーツは偶然にも実によく出来た服装形式だったのであります。第一、昼と夜に関係なく着られる点でも、それ以前のフロック・コートなどより進化していたのです。
もう一度、「ラウンジ・スーツ」を見直そうではありませんか。

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