ドーナツとドウボーイ・ジャケット

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ドーナツは、美味しいものですよね。お三時に最適、コーヒーに最適。また、朝食代わりにする場合もあるでしょう。

🎶  ドはドーナツのド………

そんな歌もあるくらいですから、日本中で、世界中で親しまれているに違いありません。
ドーナツの歴史も古いらしくて。もともとはラードで揚げるのが基本だったようですね。粉を溶いて、ラードで揚げた菓子のことを、「ドーナツ」の名前で呼んだんだそうです。
ドーナツに欠かせないものに、穴があります。真ん中に穴があってこそのドーナツ。あのドーナツの穴の起源にも多くの説があるらしい。私は勝手に全体であるよりも、「軽く」する目的だったのではと、想像しているのですが。

「わたしの記憶にあるミルクホールは、ドーナツと相撲放送と結びついている。」

池田弥三郎著『たべもの歳時記』に、そのような一文があります。大正十三年頃の想い出として。
池田弥三郎の『たべもの歳時記』によりますと、銀座にミルクホールができたのは、大正末期だったとのことです。
ミルクホールは今のカフェに似ていなくもありません。「和風カフェ」とでも言えば良いのでしょうか。最初はミルクなどを出したので、「ミルクホール」だったのでしょう。
そして同じく、ラジオ放送がはじまったのも、大正末期。たぶん、当時のミルクホールでも、相撲中継が流れていたものと思われます。
また、その頃のミルクホールには、ドーナツがあった。ドーナツの外には、「ワップル」があった。
池田弥三郎は、「ワッフル」とは言わなかった。そうも書いています。さらには、「シベリア」もあったそうですね。卓上にガラスの器があって、その中にドーナツなどが入っていたんだという。

ドーナツが出てくるミステリに、『氷のような手』があります。1962年に、アメリカの作家、ガードナーが発表した物語。

「コーヒーには、ドーナツがつくんだろうね、デラ」

これは探偵のペリイ・メイスンが、秘書のデラに話かけている場面でのこと。
事務所の近くにドーナツ屋があるので、デラの分まで買って来てあげる、そんな話なんですね。
また、『氷のような手』には、こんな文章も出てきます。

「ドウ・ボーイか!」と、ドレイクは大きな声で言った。

ポール・ドレイクは、私立探偵という設定。ここでの「ドウ・ボーイ」は、競走馬の名前。
ドウボーイ doughboy は、アメリカ兵士のこと。ことに第一次大戦時の、陸軍歩兵の愛称。立襟の制服に、大きな丸いボタンが付いていたことから。
つまりドウボーイ・ジャケットは、二十世紀はじめのスタンド・カラー・ジャケットのことなのです。
どなたか現在に通用するドウボーイ・ジャケットを仕立てて頂けませんでしょうか。

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