タンブラーとタマシャンター

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タンブラーは、コップのことですよね。コップというよりも少し大きいグラスの印象があります。
「タンブラー」tumbler はもともと「宙返り」のことで、大コップで飲む様子が、中の液体の「宙返り」に想えるところからの名前なんでしょうか。

「………無足杯、鶏尾杯、璃球児杯の數々を示説した。」

1919年に、木下杢太郎が発表した『食後の唄』にそんな文章が出てきます。
これは「鴻ノ巣」の主人が、様々なグラスについて説明している場面として。
木下杢太郎は、「無足杯」と書いて、「たんぶらあ」のルビをふっています。詩に表れた「タンブラー」としては、比較的はやい例でしょう。

タンブラーが出てくる小説に、『金持ちの青年』があります。1923年に、フィッツジェラルドが書いた短篇。

「彼はタンブラーにウイスキーを半分ついで、一気にぐっと飲みほすと、廊下へ出るドアをあけた。」

これは「アンソン」という名前の若者の様子として。
また、フィッツジェラルドの『金持ちの青年』を読んでおりますと、こんな文章の出てきます。

「彼女のかぶっている赤いタマシャンター帽が、青味がかった灰色の海を背景に、あざやかな赤い点に見えた。」

飯島淳秀訳では、「タマシャンター帽」になっています。
tamoshanter。私たちはふつう「タモシャンター」と言います。
でも、1920年代のフィッツジェラルドなら、「タマシャンター」だったかも知れません。
でも、タマシャンターは、もともとスコットランドの男の帽子だったものです。
どなたか赤いタマシャンターを作って頂けませんでしょうか。

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