トゥイードとトレンチコート

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トゥイードは、丈夫なウール地のことですよね。トゥイードの替上着は、英国人の好きなもののひとつです。英国人で一度もトゥイードの替上着を着たことがない。まず、そんなお方はいらっしゃらないでしょう。
トゥイードのひとつの特徴は、紡毛地であること。紡毛とは、「ウーレン」woolenのことです。ウーステッドに較べて、より太く、より短い羊毛糸を指します。
トゥイードにも大きく分けて二種類がありまして。「アイリッシュ・トゥイード」と、「スコッチー・トゥイード」。
これはウイスキイに「アイリッシュ・ウイスキイ」と「スコッチ・ウイスキイ」とがあるのに、少し似ているのかも知れません。
また、ウイスキイの歴史と同じように、まずはじめにアイルランドからはじまって、スコットランドに伝えられた、とも考えられています。
昔むかしのトゥイードは、手紡ぎ、手染め、手織りが基本だったものです。自分たちの衣類のために、自分たちで仕上げたものでしょう。
そしてトゥイードのさらに前にあったのが、「ホームスパン」。ホームスパンは、平織り。このホームスパンが綾織りとなって、今のトゥイードの原型が生まれたのです。
ロンドンで「トゥイード」の言葉が用いられるようになったのは、1820年代のことと考えられています。

トゥイードが出てくる小説に、『雨の午後の降霊術』があります。1961年に、英国の作家、マーク・マクシェーンが発表した物語。

「クレイトンがちくちくした感じのツイードのジャケットの両襟をひっぱった。」

ここでの「クレイトン」は、依頼者。マイアラ・サヴェジは、霊媒師という設定になっています。
これはサヴェジがはじめてクレイトンに会ったときの様子として。
また、『雨の午後の降霊術』には、こんな描写も出てきます。

「トレンチコートの襟のうえに巻いたスカーフと白いヘルメットの下の毛皮で縁どりしたゴーグルのあいだで、顔のその部分だけが外気にさらされていた。」

これはサヴェジから眺めての夫、ビル・サヴェジの着こなしとして。
ビルは、四十四歳で、バイクに乗って出かけようとしている場面。
ビルのトレンチコートにはもしかすれば、「レッグ・ストラップ」が付いていたかも知れません。
レッグ・ストラップは、トレンチコートの下、裏側の留め具のこと。これをしっかり締めると、馬を走らせても、膝や脚が濡れない工夫なのです。
雨の日に馬に乗れるなら、バイクも同じことでしょう。
どなたか全天候仕様のトレンチコートを仕立てて頂けませんでしょうか。

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