マタドールとマントオ

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マタドールは、闘牛士のことですよね。マタドールは正確には、「正闘牛士」。闘牛士の中の花形なんだそうです。
トレアドールは広く一般に闘牛士を指す言葉なんだとか。そういえばおしゃれ語にも、「トレアドール・パンツ」があります。
映画『麗しのサブリナ』のなかで、オオドゥリイ・ヘップバーンがはいて、一時期大流行になったスタイル。脚より細いパンツのことです。

闘牛士が出てくる小説に、『イタリアの歌』があります。昭和十一年に、川端康成が発表した短篇。

「一人が洋服を脱いで、それを闘牛士みたいに両手を拡げ、火の玉を包むやうに、鳥居博士へ抱きつくと、三四人もそれに倣って、燃える人間を組み伏せた。」

これは火事場での様子として。身体に火のついた鳥居博士を救う場面。
同じ『イタリアの歌』のなかに、こんな描写も出てきます。

「このパジャマ共が肩を組んで、喫茶部へアイスクリイムを飲みに通つた。」

これは入院中の若い女性の様子として。川端康成の『イタリアの歌』を読む限り、昭和十年頃から、突然、パジャマが流行になったそうです。

マタドールが出てくる小説に、『カタローニュの夜』があります。フランスの作家、ポオル・モーランが書いた短篇。

「マタドールは小さな男だ。彼の頭髪と舞踏靴は黒漆のように光っている。彼の袖の羅紗と絹を闘牛が寸断する。」

『カタローニュの夜』には、こんな描写も出てきます。

「………彼女は、ダイヤモンドに輝きながら、前のところで門のように開いた黒繻子のマントオにくるまり、正装の夜会服をぴったり身につけ………」
これは「ルメジイス」というスペイン女性。
「マントオ」は、man teau  と綴りますから、やはりマントオが正しいのかも知れませんね。
どなたかマントオと呼びたくなる一枚を仕立てて頂けませんでしょうか。

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