フェアプレイとフェドーラ

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フェアプレイは、正々堂々と競い会うことですよね。イギリス英語らしいものに、「クリケット」があります。
クリケットは英国の「国技」とも言いたいものですが。ふつうの会話で「クリケット」と使われたなら、「正々堂々」の意味になります。
「イッツ・ノット・クリケット」は、「正々堂々ではありませんよ」の意味です。そしてまた、日常会話の中で、よく用いられる言葉でもあります。

『フェアプレイ』と題する小説があるのは、ご存じでしょう。
1989年に、トーベ・ヤンソンが発表した物語。トーベ・ヤンソンの『フェアプレイ』は小説のような、随筆のような、また自伝のような内容になっています。
物語の主人公は、「ヨンナ」。このヨンナには、トーベ・ヤンソンが色濃く投影されているのです。

「ヨンナは撮影をする。コニカの八ミリカメラを手に入れて以来、この超小型の器具がえらく気にいり、旅先にはかならずコニカを連れていく。」

そんなふうに書いています。晩年のトーベ・ヤンソンは、八ミリカメラに凝ったようですね。このコニカに使うフィルムは、「コダック」と決めていたらしい。

「ヨンナには毎朝まっさらな生活にめざめるというしあわせな特技がある。」

トーベ・ヤンソンの『フェアプレイ』は、そのような第一行で幕を開けるのですが。

フェアプレイが出てくるミステリに、『夜の闇のように』があります。
謎の作家、ハーバート・ブリーンの発表した物語。

「あなた、さつきのことは全部フェア・プレイだとお考えになる?」

これは、「リンダ・モーズ」の、「リー・バランタイン」への質問として。
『夜の闇のように』は、「ハヤカワ・ポケット・ミステリ・ブック」の一冊。昭和五十九年の発行。でも、いっさいの「解説」がありません。それで原書の発行年も定かではないのです。不思議という外ありません。
この『夜の闇のように』を読んでおりますと、こんな文章が出てきます。

「………毳立ったフィードラ帽で、その高価なことは一目見ればすぐ分かるほどの品物だった。」

これは地方検事の、「フィリップ・ヴェラ」がかぶっている帽子として。
ここでの「フィドーラ帽」は、フェドーラのことかと思われます。
また、「毳立った」は、「シャギー」つまり毛足の長いフェルトのことなのでしょう。
「フェドーラ」 fedora は、少なくとも1895年に、は、一般的な用語となっていたようです。

「フェドーラは、心地良く、使いやすい、気楽な帽子です。」

1895年度版の「モンゴメリー・ワード・カタログ」に、そのように紹介されているからです。
どなたかシャギーはフェドーラを作って頂けませんでしょうか。

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